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【NEWS LETTER №285】& Talk 聖学院の各校連携(2/2)

ーー 一方で、聖学院は中高が男子と女子に分かれています。個別に教育を行うメリットは何ですか?

日向 男子と一緒の場合は、男子の仕事、女子の仕事のような役割の区別が出てきます。しかし女子校では全て女子生徒でやらなければいけないため、それぞれの得意なことで役割分担が決まっていきます。また共学において、女子が生徒会長になるケースは少ないと聞いたことがあります。そういう責任ある立場も必然的に女子が担います。これからの社会で、様々なことに参画していける自立した女性として成長できるのは女子校のメリットだと思います。

早川 男子の場合は、勉強に限らずやりたいことに集中しやすくなります。また、共学の場合、運動部は運動部で、文化部は文化部でグループになりがちです。しかし聖学院中高では運動部も文化部も関係なく共通の趣味の話で盛り上がっている風景をよく目にします。生徒同士に垣根がないのが男子校のいいところかなと思います。

■連携の「壁」を越えると 生まれるもの、見えるもの

ーー連携がうまくいかなかった経験はありますか?

田所 ちょっとしたトラブルがあったときに報告していなかったり、うまくいかないことは情報共有が足りないときに起こるように感じます。私も含め、忙しいとつい伝え忘れることがあります。情報とアイデアの共有は大切だなと思います。

日向 昨年の防災エコプロジェクトのとき、目標やモチベーションを共有することが大事だと思うことがありました。防災食チームが12月の中間発表の時点で思うような進捗になっていなかったのです。女子のリーダーに聞いてみると「男子のメンバーが何を考えているかわからない、何も言ってくれない」と言うんです。そこで私はそのリーダーに、まずは自分がやりたいことやチームの目標をメンバー一人ひとりに話してみることを勧めました。彼女は私が言った通り頑張って男子メンバーと話しました。そうしたら男子メンバーがやりたいことや自分が思っていることをいっぱい話してくれるようになり、結果、主体的に動くチームに変わっていきました。やりたいことや参加した理由を共有すると良いチーム、良い連携になっていくと感じました。

早川 一緒に何かをするという点で、すり合わせを行っていくということも大切かもしれません。聖学院中高と女子聖学院中高は防災エコプロジェクトやパラスポーツ応援プロジェクトより前から記念祭で連携をしています。昨年度と一昨年度は新型コロナウイルス対策のため対面での開催ができず動画配信という形での開催でした。動画となるとやはり女子は個人の特定につながらないようセキュリティに気をつかう必要があります。顔を出せないこともその一つです。その中で、生徒たちは何ができるか模索して連携を続けていました。一方に制限があるから連携は難しいと考えるのではなく、お互いを理解し合ってどこまで本来の目的を保てるかすり合わせていくことが必要だと感じました。

ーーなぜ近年連携が求められるようになってきたと思いますか?

日向 世の中の変化の速度が速くなっていると感じています。それに対して学校は、変化してはいるものの、企業や社会ほどの速さで変わり続けてはいません。そのような状況の中で、生徒を狭い学校の中に縛り付けないことが大切だと思います。学校も企業や他大学、学院内など、あらゆる要素とつながって、生徒が学びを発見できるチャンスを増やしていく必要があるのではないかと思います。女子聖学院中高の中だけでも「新しいものをどんどん取り入れよう」という機運を感じます。

田所 小学生の頃を振り返ると、聖学院小学校はとても発展的な授業をやっていたと思います。中高でも生徒の学びを中心に考えた素晴らしい授業を行なっていました。しかし、それぞれの良さはあるのに中学校に入ると小学校の学びがぱたっと途切れ、別の学習が始まるという印象でした。今日、駒込の小中高が連携して一貫したコンセプトで教育をするというお話を聞いて、本当にとても良い取り組みだと思いました。連携が求められるようになった理由もそういうところにあるのかなと感じます。

■ 活動の原動力、連携への「想い」

ーーみなさんのプロジェクトに対する想いを教えてください。

田所 私が防災講座にボランティアとして参加したきっかけは、福島出身の友だちとの何気ない会話でした。震災当時の様子を話したのですが、これだけ情報があふれているのにお互いの地域で起こったことを全然知りませんでした。知っているようなことほど意外と知らないと気づき、もっと多くの人に防災の大切さを改めて知ってほしいと思うようになりました。大きなことはできないかもしれませんが、人々の考えるきっかけになってくれたらうれしいです。それが活動に参加している原動力です。

日向 もともと先生が知識をただ教えることからではなく、PBL(※)的なところからしか学べないものもあると感じていました。教育デザイン開発センターのプロジェクトに参加して、聖学院小学校も聖学院中高もSDGsにせよ英語教育にせよ取り入れたいと思うような、本当に素晴らしい取り組みをしていると知りました。最初は生徒にプラスアルファの学びの機会を与えたいという思いだけで参加したのですが、今ではもう一歩進んだ考え方で、連携によってどれだけお互いが学び合えるかを目指すようになりました。また、僕個人としても学びの機会とし、幅広い視点を持った教員として成長したいと思っています。

早川 教員というとなんでも知っている印象をもたれることがありますが、全くそんなことはありません。小学校、中学校、高校、大学と通ってそのまま教員になる人も多く、むしろ社会に触れたことがない人もいます。その中で生徒たちを教え、社会に出ていく準備をさせています。だからこそ教員も学び続ける必要があります。外部とつながって協力を得て、生徒と一緒に教員も成長していく。そういう意味でも連携はとても大事なことだと思っています。

聖学院NEWS LETTER No.285
取材日/2023年3月

PBL(Project Based Learning)
 日本語では「問題解決型学習」「課題解決型学習」などと訳される勉強法です。生徒が自ら問題を見つけ、さらにその問題を自ら解決する能力を身に付ける学習方法のことを指します。

(出典:https://www.epson.jp/products/bizprojector/ekokuban/knowhow/pbl.htm

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