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感性を培う「作家の時間」 _ことばと生きる 聖学院の実践例/聖学院小学校FOCUS

一人ひとりが表現する楽しさを知る ―学びの原点―

聖学院小学校では国語教育に力を入れており、特に「ことば」による表現教育をことのほか大切にしてきました。
聖学院小学校はことばや文字を使って自分の伝えたいことを表現できる力を育てるために、国語の中で「表現」という授業を行っています。その授業は「作家の時間」と呼ばれ、子どもたち自身が作家となり、自由なテーマで自由に書くことができるという時間です。この「作家の時間」は1980年代から欧米で広がり始めた授業法で、アメリカでは「ライティング・ワークショップ」と呼ばれています。聖学院小学校では1年生から6年生まですべての学年で「作家の時間」に取り組んでいます。

「作家の時間」は授業の冒頭10分ほどを使い、「ミニレッスン」を行います。作品を書くための大切な技術などを学びます。その後は自由に書く時間が始まります。この時間は、子どもたちは先生からの教えを受けることなく、自由に書くことができます。何を題材にしても、どれだけ書いても、認めてもらえます。

「『作家の時間』は、子どもたちの主体性にまかせる活動です。書くことを直接指導しているわけではないので、『書くスキル』が劇的に向上するわけではありません。しかしこの活動を続けていくことで、日常の中で使われる『ことば』に敏感になったり、日本語に備わっている美しい表現に気付いたりしながら、語彙を広げ、表現力が豊かになっていきます。こうした、緩やかな成長を見守る活動なのです」と教頭の田村一秋先生は語ります。

      田村一秋教頭先生

自由に書く時間を終えると、書いた作品を読んでもらう人を選びます。その児童は「作家さん」として作品を朗読します。それを聴いた児童たちは「作家さん」にファンレターを書きます。ファンレターは付箋を使い、褒める視点で具体的に書き、「作家さん」に伝えます。

この手法は、日本ではまだ認知度が高いわけではありませんが、聖学院小学校では非常に手応えを感じている手法であるため、積極的に取り入れ、実践しています。子どもたちは、「作家の時間」を通して表現することの楽しさを体験します。自分の書きたいことを自由に表現できることで充実感を得られ、自己肯定感も高まります。ファンレターを書くことで褒める文化も生まれ、お互いに認め合えるようになります。他者を尊重し、良さを具体的に伝えることでお互いに気持ちよく成長し合えるのです。

子どもたちは、表現することの楽しさを知ることで、学びの楽しさを知ります。このことは、どの教科を学ぶ上でも、とても大切な事柄で、学びの原点と言えます。聖学院小学校では6年間をかけて、子どもたち一人ひとりの「書きたい思い」を尊重しながら、感性を大切に育てています。

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