お知らせNEWS

聖学院中高TOPICS各校情報

国語教育_ことばと生きる 聖学院の実践例/聖学院中高FOCUS

ワクワクする“問い”への取り組みで言葉を「啓く」

聖学院中学校・高等学校の国語科主任、島立光人先生は国語の授業の目的は「言葉を啓く」ことだと言います。

私が担当する学年のドライビングクエスチョンは「ともに好きを啓くには?」で、これは先生たちみんなで考えました。〝啓く”は「できなかったことができるようになる」、「持っていなかったものを得る」、あるいは「暗いところに灯を点す」というニュアンスの言葉です。そして〝言葉”は例えるならば眼鏡のレンズのようなものであり、見えないものを見えるようにすることができます。「言葉を啓く」ことによって、語彙が増える、文法を理解する、文章が書けるようになる、論理的に考えることができるなど、できることが増えるわけです。

何かを“考える”ためには論理だけでは不足であり、その前提となる知識や、文化とも言い換えることができる国や地域の共有の価値観なども理解しておく必要があります。そうした意味で「読む」「聞く」というインプットはとても大切です。そして「書く」「話す」というアウトプットに向かうわけですが、そこで重要なことは答えを出すことに焦点を当てるのではなくて、“問い”を設定して、“問い”に向き合って考えること、考えた時間こそが大事なのだということです。
そして、私たち教員は、いかに生徒たちがワクワクして“問い”に取り組めるか、生徒の心のコップを上向きにして学びを受け入れる状態を作れるかを、それぞれ工夫した上で授業設計しています。

現在、中3では森鴎外の『高瀬舟』を題材に授業を行っています。弟を殺した罪で島に流される舟での物語ですが、主人公である兄は罪を犯しているにも関わらず清々しい様子で描かれています。小説の序盤しか読んでいないところで、「兄はなぜそうなのか」など、疑問に思うこと、違和感を感じることを言語化して、それについて推理してもらいます。そうすると物語は自分ゴト化していきます。違和感の言語化では、そこに生徒の人間性や価値観も顕れてきます。授業では生徒たちの価値観を評価するのではなく、思考の論理性に焦点を当てます。そしてそれは、次のディベートの授業へとつながっていきます。

小説を書いて、視点を変えて考えることを学ぶ

中2では太宰治の『走れメロス』が授業の題材になります。小説はメロスの視点から書かれていますが、授業では親友のセリヌンティウスの視点によって生徒に小説を書いてもらいます。これは視点を変えて考えることを学ぶためですが、小説を書くことは語彙を増やすためにも効果があります。

荒川区社会福祉法人・団体との連携・交流/聖学院中高 focus