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&Talk 特集 地域と共にあるということ(3/3)

高齢社会における社会教育、 地域と共に価値をつくる学び

ー地域連携の意義、今後の展望などを教えてください。

 

小池 日本社会がこれだけ高齢化し、長寿化が進展する中で、若い時にしか学ばないという考えは過去のものになっていくと思います。これからは、自分で学びを自由に選択しライフデザインをしていくことが必要です。学びを仕事のために生かしても良いし、自分の楽しみのためでも良い。

日本の高齢化の進展は、社会保障費の財源を若い人たちが背負わなければいけないため、高齢期の人たちと若い世代が対立している意識構造があります。しかし、対立ではなく共存を模索することが私たちのすべきことではないでしょうか。そのためには高齢者も社会に貢献していくべきですし、そのためには学ぶことが必要です。大学のような教育研究機関はそういう場を提供していくことが今後ますます期待されていくのではないかと思います。

 

若原 学生が地域に出て行って活動しながら学ぶということは、学習することの本来的な意味や楽しさに触れることでもあります。学校での学びは、どうしても自分の生活や社会と関連づけて理解しにくい、実感しにくいところがあります。しかし地域での活動は自分が学んできたことを生かすことができ、地域にとっても意味があり、自分にとっても価値があるということを実感できます。さらに学生が地域に入っていくことで、地域の人たちの学びも喚起します。これは多分地域の人たちにとっても楽しいはずです。楽しいというと抽象的ですが、これもまた地域連携の大事な価値であり側面だと思います。

 

青木 聖学院大学はボランティア活動や公開講座など、地域に開かれた様々な取り組みをしていると思います。そのどれもが大学の内側から見るよりも地域に大きなインパクトを与えています。そういった取り組みをこれからもぜひ続けていっていただき、私たちもそこに協力できることがあれば参加していきたいと思います。

 

小池 今年、本学は埼玉中小企業家同友会と協定を結びました。その一環として同友会会員の企業家に大学においでいただき授業の内外で学生たちにお話をいただく予定です。学生にとって、仕事の現場で何が本当に大切で、どんな苦労があるのかを聞ける貴重な機会になることでしょう。また経営者の皆様に直接お話しいただくことで、企業のウェブサイトや資料だけでは見えてこない仕事の面白さや会社の魅力が学生に伝わると思います。お話に興味を持った学生が、同友会の会社に就職し、本学で学んだことを企業のために、ひいては地域のために生かしていける、そういう良い循環ができることを願っています。

 聖学院は埼玉に所在する大学なので、地域の企業に教育の成果を届け、聖学院の良さを評価していただけるよう、小さなことから始めていこうと思っています。

(取材日/2023年10月)

聖学院大学の地域連携例

●公開講座

さいたま市、上尾市の教育委員会と連携し成人の方たちを対象に公開講座を開催しています。大学の教員または元教員が講師を務め、持続可能な社会や英会話についての講座が開設されています。

 

●リカレント教育講座(開放授業講座)

埼玉県高齢者福祉課と大学の協定で、埼玉県在住の55歳以上の人たちが、大学の現役学生向けの授業に参加できる制度です。

●子ども大学あげお・いな・おけがわ

上尾市、伊奈町、桶川市、日本薬科大学、聖学院大学が連携し、小学生を対象に大学の授業を体験してもらう講座です。上尾市、伊奈町、桶川市在住の小学校5、6年生を対象に、夏休みに連続4回開催します。大学の研究者が自分の専門分野を小学生に分かりやすく講義します。

●高大接続

埼玉県立上尾南高校の探究の時間をコーディネートしました。上尾南高校の生徒を大学に招き、青年期の心理をテーマとした心理福祉学科の心理学の授業を体験してもらいました。


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