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Collaboration 聖学院みどり幼稚園 × 聖学院大学

国府田 郁絵(左)
聖学院みどり幼稚園主幹。2001年3月に聖学院大学を卒業後、聖学院みどり幼稚園に勤務し2022年4月より主幹。保育者や親である大人が、子どもを真ん中に考えながらその育ちを支えていけるよう、日々の生活を大切にした保育を目指しています。

相川 徳孝(右)
聖学院大学人文学部児童学科特任教授。 彰栄幼稚園、武蔵野相愛幼稚園、社会福祉法人雲柱社黎明保育園、聖学院アトランタ国際学校の保育現場のあと、児童学科教授を経て現職。聖学院みどり幼稚園では保育主任として3年間、大学と兼任。社会福祉法人雲柱社保育ブロックのリーダー研修を担当。キリスト教保育連盟養成機関委員長。春日部市子育て支援審議会会長。

大学とみどり幼稚園が保育観を共有するからこそ、連携が深くなる


女子聖学院短期大学(以下短大)児童教育学科(児童学科の前身)の実習園として設立された聖学院みどり幼稚園(以下みどり幼稚園)。当時は大学の授業の一部をみどり幼稚園の一室で行っていたそうです。成り立ちからして関わりの深い両者の連携について、聖学院大学児童学科の相川徳孝先生と、みどり幼稚園の国府田郁絵先生にお話をうかがいました。

 

 

ーーみどり幼稚園と聖学院大学児童学科にはどのような連携がありますか?

相川:短大時代から大学に移行した当初はみどり幼稚園の副園長が講師を兼務している関係で、幼稚園で授業が行われていました。その後、短大から4年制になり大学で授業を行うようになってからは、実習で学生がみどり幼稚園に行っています。また昔から続いている連携は、ボランティア活動やアルバイトです。ボランティア活動の例としてはお泊り保育のお手伝いなどがあります。

国府田:あと夕涼み会や夏祭りなども学生の方に手伝ってもらっています。今年度はみどりフェスタという、幼稚園の保護者が物品を用意して販売するバザーを開催し、多くの学生ボランティアの方に来てもらいました。 アルバイトは幼稚園の保育が終わった後、14時~18時の預かり保育に関わってもらっています。学生の方には、園の先生の補助という形で子どもと遊んだりおやつの準備をしたり掃除をしてもらったりしています。

相川:学生が聖学院の幼稚園・小学校に1~2日見学に行き、幼児や児童のありのままの姿を見る「学校インターンシップ(基礎)」という科目があります。この科目においてもみどり幼稚園とは連携しています。

国府田:今年度の「学校インターンシップ(基礎)」では、実習の最後に学生の質問に答える時間を作りました。学生が園の子どもたちを見て感じたことを話したり、私たちが学生の質問に回答することでお互いの理解が深まったと感じます。また、みどり幼稚園が大切にしている遊びを中心とした保育や子どもを中心とした考え方は、相川先生が大学で教えていることでもあります。学生にとってはこの質疑応答が授業で習ったことを再認識する機会にもなったのではないでしょうか。

(聖学院みどり幼稚園。木々が色づく自然豊かな園庭で落ち葉の上を子どもたちが元気に駆け回っています。)

相川:子どもを中心に考えるとは、例えば子どもが何かをしてしまったとき、子どもにはそうしなければいけない理由が必ずあり、それをきちんと考え見極めてから対応するという態度のことです。もちろん1日で身につくことではありません。しかし、数週間にわたって行う実習の場合、終盤では「○○ちゃんはこういうところがあるから、こういうふうに言ったら通じるかな」と考えるようになります。私は実習日誌の中にその片鱗を見ることがあります。実習中、学生は目の前のことで手一杯になります。それでも子どもを理解しよう、子どもの活動には必ず意味があるはずだと思いながら対応していくと、子どもの活動を「○○ちゃんこうなんだよね」と代弁できるようにもなります。そこから子どもとの関係性が構築されますし、子どもを理解できたという経験は学生を成長させます。

国府田:子どもの遊びの中には、子どもの様々な思いが見られます。その一つひとつに丁寧に気づいていきたいと思います。相川先生のお話同様、学生が簡単にできることではありません。しかし学生がみどり幼稚園に来て、気になったこと、興味を持ったことを、その時は分からなくても、ちゃんと大学に持って帰れば、解説してくれる先生がいます。もう一度来たいと言われれば園も受け入れます。そういう距離感の環境があるということはとても貴重なことだと思います。

(児童学科の学生がボランティアとして参加する「みどりフェスタ」。ここにも学びがあります。)

 

ーー今後の展望を教えてください。

相川:オープンキャンパスに来た受験生に、敷地には幼稚園があって連携していることをもっとアピールしても良いと思います。敷地内に幼稚園が併設されている大学はそうはありません。

国府田:大学の先生がふらっと園に来て、子どもたちの遊びや生活をより知ってもらえると良いと思います。また、児童の先生に限らず、例えば植物に詳しい先生が「この花はこういう特徴があるんだよ」とか、みどり幼稚園の環境についてお話しいただけると、ゆくゆくはそれが子どもたちの気づきや豊かさ、経験の厚みにつながってくると思います。

相川:ここ(聖学院大学1号館1cafe)にキッズスペースを作って、下のお子さんを連れて来ているお母さんがちょっとくつろいでお迎えを待てるようにするとか。

国府田:9時に送って11時半までの間、大学の施設でくつろげますよね。

相川: 学科だけではなく大学として、地域の子育て家庭に対して、もっと幅広い支援を考えても良いのかもしれません。

国府田:いろいろできることがありますね。

(取材日/2023年2月)


みどり劇場


バザーが盛大だった頃、児童学科の児童文化研究会の学生が企画運営する「みどり劇場」という劇や人形劇を上演するコーナーがありました。演目から子どもたちの誘導まで、学生が自分たちで考えて対応していました。学生にとって、子どもの実態や子どもの興味関心をしっかり学べる良い機会だったと同時に、園児にとってもいつもと違う新鮮さがあり、とても有意義なボランティアでした。

2023年4月から児童学科は子ども教育学科へ

社会の変化に伴い、慣れ親しんだ「児童」という語が大学を選ぶ高校生にとって馴染みにくいものとなりました。一人の子どもの人格に向き合い、言葉にならない子どもの思いを多角的に理解しようとする児童学(child studies)の学問姿勢は、今日も色あせることはありません。そこで、学科が基盤とする児童学(child studies)の原点に立ち返り、私たちの教育課程と教育・研究の実態を変えることのないよう「子ども教育」学科に変更いたします。これまで同様、多様な子どもと子育て家族に臨み、子どもたちと共に持続可能な社会を生み出す人を育てる学科です。

子ども教育学科パンフレット

子ども教育学科HP