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学ぶ人たち/髙寺 美桜 さん(聖学院大学 人文学部 日本文化学科4年)

被災地で受け取った感情を、表現という形で共有したい

●PROFILE
幼少の頃から絵を描くのが好きで、本格的に絵の具を使い始めたのは中学生から。アクリル、透明水彩などを中心に制作。第93回 国展 国画会写真部『小中高生フォトフェスタ』奨励賞受賞。芸術団体「現展」に所属。

「風光る春展」。今年、聖学院大学のヴェリタス祭において、宮城県石巻、女川をテーマにした展示が行われました。画家としても活動する日本文化学科4年の髙寺美桜さんの企画です。「被災地には未だに感情を消化できないままの人、心に深い傷を負ったままの人がいます。同時に、力強く歩み出している人もいます。街もまた爪痕が残る場所と復興していく場所があります。風化させないだけではなく、被災者たちが重ねてきた春と、未来に向かって新しくなりつつある東北を伝えたい」と髙寺さんは言います。

髙寺さんがこの展示をしようと思ったのは東北ボランティアスタディツアーに参加した時でした。スタディツアーは、学生が東北で震災のことを学びつつ、自分たちに何ができるかを考える活動です。髙寺さんは津波の被害に遭った大川小学校の伝承館で、赤いランドセルの展示と出会います。生きていたら髙寺さんと同じ年齢だった女の子の持ち物です。そのランドセルに強く心を揺さぶられた髙寺さんは、この子が生きたかった未来のために「こんなことをやったよ」と言える生き方がしたいと思ったそうです。また牡鹿郡女川町には「しあわせの黄色いポスト」という筒形のレトロなポストがあります。瓦礫の中から見つかり、復興の象徴として設置された黄色いポストを見て、未来に向かう人々の想いを、力強さを感じました。これも被災地のリアルな姿だと思い、東北の多面性を形にすることにしたそうです。

ヴェリタス祭開催期間、スタディツアーで震災当時の話や復興の様子を案内してくれた現地の団体「Team大川 ー未来を拓くネットワークー(※)」の方たちも招待しました。大学生、教職員、一般来場者と「チーム大川」の方たち、みんなで東北について語り合う場所が誕生しました。髙寺さんは「私が東北から持ってきたかったものが実現しました。社会人になっても東北には関わっていくと思います」と言います。東北との出会いが、髙寺さんのライフワークになりました。

※石巻市立大川小学校の出身者たちが立ち上げた、被害を受けた小学校周辺にコミュニティを再生しようと活動している団体。

髙寺さんのもう一つの企画「ある春のための上映会」

「ある春のための上映会」は、石巻市立大川小学校で被災した佐藤そのみ監督の映画上映会。震災の被害者となった妹への手紙を中心に綴るドキュメンタリー映画「あなたの瞳に話せたら」。震災直後、同じ家族を失いながらメディアの取材に応える中学生の主人公と、まだ心の整理がつかずメディアの前に出れないその友だちを描いたフィクション「春をかさねて」。その2本を上映。「ある春のための上映会」を知った髙寺さんは、スタディツアー直後に上映会に参加。色々考えさせられたと言います。そして、聖学院大学でも上映したいと監督に直接連絡をとり、大学での上映会企画を成立させます。上映会当日には佐藤監督にも来場いただき、座談会と映画を見た人たちとのグループワークも行い、大好評でした。