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& Talk_プロジェクトで、描くミライ。

座談会 瀬上 倫弘 ×新井 乾斗×栗田 実夕 ×宗川 麻莉香×篠原 飛陽

聖学院NEWS LETTER No.282 取材日/2022年2月

多くの人がSDGsを自分ゴト化する きっかけになりたい、 貧困問題解決や地域活性の手助けがしたい、 思うだけではなく行動へと飛躍する陰には 学校そして教員のサポートがありました。



――聖学院大学では2019年から「学食寄付メニュープロジェクト(以下寄付メニュー)」を推進しています。 このプロジェクトは大学4号館の学生食堂で特定のメニューを注文すると、その売り上げの一部が国連WFP協会(以下WFP)を通じて飢餓に苦しむ人たちへの寄付になるというものです。初年度はテレビ埼玉に取り上げられ社会的に大きな反響がありました。一方、聖学院中高では2016年から校舎で養蜂を行う「みつばちプロジェクト」を展開しています。養蜂に加え、収穫したはちみつを商品化して販売しています。2020年には生徒と卒業生による会社として法人化しました。いずれも社会貢献に加え、思考力、判断力、表現力、協働性などを育てることにもつながっています。

「寄付メニュー」の学生チームPetite Arche(以下プチ・アルシュ)の設立者・新井乾斗さん、そのメンバーの栗田実夕さん、宗川麻莉香さんと「みつばちプロジェクト」の篠原飛陽さん、そして「寄付メニュー」にも関わり、聖学院中高で授業をしたこともあるWFPの瀬上倫弘さんに、それぞれのプロジェクトとそこから見える聖学院の教育についてお話しいただきました。

「寄付メニュー」がつなぐプロジェクトの輪

ーーチャプレンとは、学校においてどのような役割を担われていますか?

新井 「寄付メニュー」はプロジェクト考案のメニューを食べると、売り上げの一部が寄付につながるという企画です。またこの活動を通じて多くの人にSDGsやWFPのことを知ってもらい、一人ひとりのアクションにつなげたいという思いも込められています。元々の企画を考え、ロードマップを敷いてくださったのは先生方です。先生、4号館の学生食堂レパスト(以下レパスト)、寄付受け入れ先のWFP、そして先生に声をかけてもらった学生たちの4者でスタートしました。先生方が、社会貢献をしつつ学生の学びになることを目指していたので、運営は私たち学生に任せていただきました。私たちが行った主な活動はメニューの考案と広報活動、そして関係各所への協力依頼と連携でした。瀬上さんとお会いしたのもこのプロジェクトがきっかけでした。

瀬上 私はWFPの中のファンドレイジングという、皆さんから寄付や支援を集める仕事をしています。具体的には定期的に学校等に赴いて出張授業や講演、グループワークを行い、食糧支援の必要性や社会課題について理解・共感をしてもらう仕事です。その講演の一つに参加されていた聖学院大学の西海先生に声をかけていただき「寄付メニュー」に参加させていただくことになりました。

新井 企画としては寄付や社会課題の周知が目的ですが、レパストの売り上げにつながることも持続可能という観点からは必要です。そのため本当に売れるメニューを目指し、上智大学でヒアリングを兼ねて試食ツアーなども行いました。結果として給食約750食分の寄付ができ、テレビ埼玉が取材に来てくれました。瀬上さんと知り合えたことも含め、どんどん私たちの想定を超えたところまで発展していって、自分にもこんな大きなことができるんだとやりがいと自信を感じました。その時の感覚はとてもよく覚えています。

瀬上 授業を聞いているだけではなかなか得られない経験だと思います。他校で、ヴィーガンを使った学食寄付メニューを実施してみたいけど1人だからできないという相談を受けたことがあります。その学生に新井さんたちが進めているプロジェクトのことを話したら「頑張ってみます」と言っていました。新井さんの経験はこのプロジェクトを超えて勇気が必要な人をエンパワーメントしています。これも連携や協働の一つだと思います。

新井 「寄付メニュー」のために一定期間だけ集まったメンバーでしたが、活動を続けるうちにメンバーが増えていきました。そこで、先生方の後押しもあり、学生主体の団体プチ・アルシュを立ち上げました。

~「みつばちプロジェクト」のタイ・児童養護施設支援~

同プロジェクトはクラウドファンティングでタイ・チェンライの「メーコックファーム」(児童養護施設)の支援を行いました。貧困に苦しむ地域の子どもたちを支援する取り組みです。寄付者へのリターン商品として、同プロジェクトが製造するはちみつ入りのクラフトジンジャーエールやジャムが送られます。この支援の中心メンバーの1人が篠原さんです。

ーープチ・アルシュはどのような組織ですか?

新井 プチ・アルシュは、SDGsを自分ゴトとして考えてもらうための団体です。そのきっかけとなる企画を学生目線で考えて実施しています。「自分の好きなこととSDGsを結びつける」ことをモットーに活動をしています。

宗川 私は大学1年生のゼミで学食寄付メニューのことを知り、2年生の時にプチ・アルシュに入りました。入学して1年間、新型コロナウイルスの影響で大学に来られなかったので、2年生になったら能動的に動きたいと思っていました。元々SDGsに興味があったこともあり、プチ・アルシュの主体的に企画して行動するところに魅力を感じています。

栗田 私も2年生から参加しています。高校生の時のボランティア経験がきっかけで、大学に入ったら自主的にボランティア活動をしてみたいと思っていました。加えてゴミの問題にも興味があったので、自分の興味・関心を活動につなげられるプチ・アルシュに入りました。実際、昨年11月にゴミ拾いのボランティアに参加することができました。

新井 他にも学内にグリーンカーテンを設置したり、エコプロ2021展に参加したり、古着の回収・再利用をする企画を立てたりと、様々なプロジェクトを推進しています。集めた古着はリメイクして、ファッションショーを開催することも企画しています。

高校生が社会課題に取り組む「みつばちプロジェクト」

ーー「みつばちプロジェクト」はどのようなプロジェクトですか?

篠原 聖学院中高の校舎の屋上で養蜂を行い、そこで採取したはちみつを学内外で販売しています。またフードロス問題に着目し、見た目が悪いという理由で廃棄される予定だった果物からジャムを作っています。2020年1月に法人化(合同会社And18’s)し、北区を中心に販売事業を行っています。ただはちみつを作っているのではなく貧困、地域活性など様々な社会問題に真剣に取り組んでいることを知り参加を決めました。入ったら奥深さを知ってプロジェクト活動にどんどんのめり込んでいきました。プロジェクトにおける私の役割は、養蜂活動から販売に至る全行程と高校1年生のまとめ役です。また委託販売先との連絡や納品、新規販売先等との商談などをしています。

瀬上 篠原さんとは、12月に聖学院中高のワークショップの授業依頼を受けたのがきっかけで知り合いました。実は、そのワークショップの授業依頼をしてくれたのが篠原さん本人だったんです。高校生が直接依頼してくることなんて通常ありません。彼の行動力は本当にすごいと思います。

~ベジブロスで食品ロス軽減、地産地消を目指す~

プチ・アルシュは地元の野菜を使ったベジブロス動画を作り、食品ロス軽減と地産地消を促すことを上尾市に提案しました。ベジブロスとは栄養が豊富といわれながらも捨てられている野菜の皮やヘタを使ってつくる出汁のことです。この企画が採択され、51,000円の助成金を獲得しました。このプロジェクトが元でプチ・アルシュは大学内で野菜を作ることになり、その野菜が「寄付メニュー」にも食材として使われました。

大学・学校間への広がり 大規模プロジェクトの可能性

ーーそれぞれのプロジェクトについての感想を教えてください。

新井 プチ・アルシュは地元の野菜を使ったベジブロスを推奨する企画で食品ロス、地産地消にも取り組んでいます。篠原さんと私たちには共通点が多いと感じています。ぜひ今度一緒にプロジェクトを動かしてみたいです。

篠原 私は、みつばちプロジェクトとは別に個人として「明日、福」というタイコーヒー専門の会社を立ち上げています。生産者適正価格で仕入れた豆を使い、環境に配慮した素材を使うことで、貧困と環境の2つの社会課題に同時にアプローチすることを目指したプロジェクトです。このプロジェクトの根底には、特に意識せずルーティン化された行為をそのまま社会貢献につなげたいという思いがあります。食事もルーティンの一つであり、特定のメニューを食べると自動的に寄付につながる「寄付メニュー」は私の目指す完成形の一つです。ぜひプチ・アルシュの皆さんに詳しい話を聞きたいですし、私の商品も連携できたら嬉しいです。

新井 良いですね。今閉まっている大学1号館の1cafeのカフェ機能をプチ・アルシュが主体となって再開・再利用するアイデアもあります。学長にも承諾いただいたので実現に向けて動かそうと思っているところです。

篠原 その時はぜひ私も参加させてください。

瀬上 WFPの寄付も絡めたレッドカップカフェにしましょう。
ところで新井さん、古着を集めてリサイクルして古着のファッションショーをするプチ・アルシュのプロジェクト、実はこの企画、私が関係している様々な大学の団体が興味を示しています。さらにはこの話が呼び水になってレッドカップカフェのようなものも大学間で連携できる可能性が出てきています。もしこのプロジェクトが実現したら我々WFPとしても大学・学校間連携の一つの到達点になると期待しているのですが、この企画のその後の進捗はどうですか?

新井 私の方でも、連絡を取っている団体があったり、アルバイト先の服飾系の大学の学生が協力を申し出てくれたり、広がりが増えてきています。今年の11月か12月には実施したいと思っています。

瀬上 聖学院中高もコラボレーションできるかもしれませんね。

篠原 服飾系のプロジェクトで最近賞をもらった先輩がいます。

瀬上 まさにこの企画にうってつけの人材ですね。

新井 本当にそうですね。ぜひ一緒にやっていきたいです。

瀬上 これが実現できれば前代未聞の大規模プロジェクトになりますね。

~ShareTheMeal~

スマホから寄付ができる国連WFPの無料アプリです。約80円から寄付ができ、このアプリによって、今までお小遣いから寄付をするにはハードルが高かった中高生でも支援ができるようになりました。寄付を通して子どもたちが社会課題に目を向け、自分ゴト化するきっかけとなるアプリです。

プロジェクトから見えてくる 聖学院の教育

ーー聖学院はどのような学校だと思いますか?

瀬上 聖学院は中高も大学もとても明るくて、とにかく主体的です。聖学院中高のワークショップの発表ではみんな5分10分と話していましたし、質疑応答でも次々と質問が出ました。ではなぜそんなに主体的なのか。教員との距離がとても近いことが関係しているのではないかと思います。そしてそれは信頼関係に裏打ちされたものではないでしょうか。一方的に指導する側とされる側という関係ではなく、生徒、学生が自分のやりたいことを自分から言える関係があるように感じます。とはいえ放任するわけではなく教員がちゃんと支えている。学院を通じて教員のサポートがとても上手な学校だと思います。

新井 瀬上さんのおっしゃる通りだと思います。先生方のおかげで生徒・学生がより主体的になり、プロジェクトに向かっていく、そういう環境があると思います。

宗川 確かに聖学院大学は先生方がとても気さくで、気軽に挨拶できる温かい学校だと思います。また学生同士でも意見ややりたいことが言いやすい、そういう雰囲気が学校全体に流れていて、それがプロジェクトの活性化にもつなかっているのかなと感じます。

栗田 私も先生との距離の近さを感じます。他大学の学生にも聖学院の特徴として言われたことがあります。加えて学院全体としてSDGsに触れる機会が多いと思います。授業だけではなく、校舎内の至る所がSDGsの話や考え方で溢れている印象です。だからこそ社会課題に取り組むプロジェクトが盛んになるのだと思います。

篠原 聖学院中高に限って言えば、中学校1年生のときからSDGsや社会課題に関するワークショップを定期的に行っています。そういう経験を繰り返していくと中学3年生や高校1年生あたりで自分でもやってみたくなります。また、聖学院中高にはSDGsや環境問題に興味を持っている先生が多いという特徴もあります。例えば私のクラス担任もコーヒーの問題にとても興味を持っていますし、学年主任の先生は海の環境問題のプロジェクトを生徒と一緒に行っています。生徒が今、興味があることを先生に話すと、すぐプロジェクト化する話や、学校内ですでに始動しているプロジェクトの紹介をしてくれます。自分もそういう経緯で「みつばちプロジェクト」に入りました。参加した先では先輩方が真剣に取り組んでいる姿を目の当たりにします。だから自分も本腰を入れて取り組んでみようと思うようになりました。この一連の流れができあがっているのが大きいと思います。

瀬上 私が学生の頃は知識偏重でした。暗記して筆記でアウトプットすることが求められていました。しかし今は、ベースとなる知識は必要ですが、その知識をどういかして、どう考えて、どう行動するかが問われています。聖学院はそれが実現できている最たる学校ではないでしょうか。

(取材日/2022年2月)


国連WFP協会
国連WFP協会は、飢餓と貧困の撲滅を使命とするWFP国連世界食糧計画を支援する認定NPO法人で、日本におけるWFP国連世界食糧計画の公式支援窓口です。日本国内において世界の飢餓問題やWFP国連世界食糧計画の食料支援活動に関する情報発信を行い、多くの人々が容易に参加できる支援の方法と機会を広く提供し、日本社会からの物心両面の貢献が格段に高まることを団体の目的としています。(出典:国連WFP協会ホームページ) 

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