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&Talk SDGsの見つけ方‐“好き”から始めるSDGs‐

鼎談 武本 花奈×田村 一秋×石原 康男

聖学院ニュースレターNo.278 取材日/2020年11月



カメラを通して身近なところからSDGsを考えてもらおうと、今年から始まった「聖学院SDGsコンテスト PHOTO & MOVIE」※1。
その審査員2名と、聖学院小学校の教頭先生にお集まりいただき、コンテストを通じて感じたことや、SDGsの認知拡大、社会に主体的に関わるために教育ができることなどをお話しいただきました。

(左から)●武本 花奈:写真家。聖学院大学政治経済学部卒業。広告、書籍の撮影などを手がける傍ら、2014年より難病ALS患者の撮影を開始。著書に「これからも生きていく―難病ALS患者からのメッセージ」(春陽堂書店、2020)。季刊誌『福祉労働』にて、フォトエッセイ「インクルーシブに生きるふつうの人」連載中。●田村 一秋:玉川大学教育学部卒業後、1985年より聖学院小学校に勤務。入学時の1年生から卒業学年の6年生まで全学年の担任教師を歴任。聖学院小学校にとって初めての建て替えである旧校舎から仮校舎、そして現在の新校舎と3つの校舎を経験。2000年から2年間、聖学院アトランタ国際学校(SAINTS)での勤務を経て、2017年より教頭を勤める。●石原 康男:1955年、東京都豊島区生まれ。東京工芸大学(旧東京写真大学)卒業。埼玉県川越市在住のフォトグラファー。学校法人聖学院での撮影をはじめ、地元川越の自然風景、祭事や地元の高等学校を中心に活躍中。2008年度、学校法人聖学院生涯学習センター「写真講座」講師。


SDGsすなわち社会課題解決をめざすには「自分にも関係がある」と主体的に考えること、自分ゴト化が必要です。「聖学院SDGsコンテスト PHOTO & MOVIE」を開催したのも、学校という枠からもう少し範囲を広げ、一人ひとりが身近な社会課題に目を向けてほしいという思いがあったからです。見つけることや気づきをインプットとするならSDGsを他の人にも認知してもらうアウトプットまで行動をつなげたい。
このテーマについてお集まりいただいたのはコンテストの審査員でフォトグラファーの石原康男さん、武本花奈さんと、聖学院小学校の田村一秋教頭先生です。石原さんは聖学院を幼稚園から大学院まで長年撮影されていて、聖学院を熟知されているフォトグラファーです。武本さんは聖学院大学の卒業生で、ALS患者※2の取材活動を続け、出版という形でアウトプットをされています。小学校では今年から、社会や世界に関わり合うための主体的・対話的で深い学びを重視する新しい学習観を持った学習指導要領での学びが始まっています。それぞれの立場から、行動するためには何が必要か、教育が貢献できることは何かについてお話をうかがいました。

モチーフを限定しない、多種多様な作品が集まったフォトコンテスト

――コンテストの審査を通じて感じたことや思ったことを教えてください。

石原 今回のコンテストは本格的に写真を撮っている方以外の応募も多く、技術的なことよりテーマが重視されています。また皆さん、メディアなどでたくさん良い写真を見られているので、映像が洗練されていますね。
武本 私は他でも審査員をしていますが、今回のコンテストは被写体のジャンルが様々なので見ていて非常に楽しかったです。撮影者の興味の対象に私も興味を持って見ることができました。言いたいことが伝わってきて「なるほど」とうなずく作品もありました。
石原 そうですね。皆さん聖学院が掲げたテーマに沿ってそれぞれのモチーフで作品を作ってくれたと思います。
田村 私も写真が好きなので、ぜひ撮りためていた写真をたくさん出そうと思っていたのですが、気づくと既に終わっていて愕然としました(笑)
武本 来年はぜひ応募してください(笑)。私は、もっともっと学生たちの写真が、特に小さい子たちの写真が見てみたいです。小学校の子どもたちが何を考えているのかすごく興味があるので、先生から子どもたちに「出してみよう」と促していただくのも良いかなと思います。
石原 聖学院小学校では、iPadで写真を撮って作品を発表する授業をしているので、そういう授業と連動して応募してもらっても良いかも知れません。子どもたちは、すごく面白い視点を持っていますから。
田村 そうですね。子どもの写真は大人からすると撮った理由がわからないものもあります。きれいな風景かどうかより自分の思い入れがある場所だったり、なぜこうなっているか不思議に思ったりしながら撮影します。そうした観点が面白い作品につながりますよね。

※1 「聖学院SDGsフォトコンテスト PHOTO & MOVIE」。NEWS LETTER № 278 p10もご参照ください。
※2 筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。しかし、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経(運動ニューロン)だけが障害をうけます。その結果、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉がやせていきます。その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通です。(出典:難病情報センター 病気の解説(一般利用者向け) 筋萎縮性側索硬化症(ALS)(指定難病2)