SDGs
【受賞発表】 第5回聖学院SDGsコンテスト
受賞発表・入賞作品のご紹介
この度は「第5回聖学院SDGsコンテストPHOTO & MOVIE」にご応募をいただきありがとうございました。
審査の結果、入賞作品をご紹介します。
*受賞作品(PHOTO & MOVIE)はエコプロ – SDGsWeekEXPO2024 にて掲出いたします。
【会場】東京ビッグサイト
【アクセス】https://www.bigsight.jp/visitor/access/
【小間番号】E-35, E-36
【開催期間】2024年12月4日(水)〜12月6日(金)
最優秀賞 1名
【タイトル】『望まない循環』
【受賞者のお名前】A. M.さん
【該当するSDGs】12 つくる責任 つかう責任
【作品概要】
息子が学校の研修でフィリピンを訪れ体験した「環境問題に配慮せず投棄されるゴミと、そのゴミを拾って生計を立てる人々」についての社会問題。その話を聞いて、かつて日本でもゴミを直接埋め立てて社会問題となっていたことを思い出し、今では憩いの海浜公園となっている東京湾の埋立地を訪れました。ゴミでできた埋立地にゴミが散乱している様子は、フィリピン同様にとても皮肉な風景に映りました。
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受賞者コメント
過分な評価をいただき、恐縮しております、ありがとうございます。
何より、日々の活動に加え、様々な体験の機会をご用意くださる中学高等学校に、この場を借りて感謝申し上げます。
タイパ重視の昨今ですが、何気ない風景や1枚の写真から色々思いを馳せてみたり、実際の場を訪れてみたり、SDGsについて考えてみたり…これからもそんな時間を子供たちと共有していけたらと思っています。いつまで親の相手をしてくれるか微妙ですが。 -
審査員コメント
作品を見て最初に目が行ったのは、構図のうまさです。SDGsのフォトコンテストで、「ゴミ」はよくあるテーマのひとつですが、主題となる浜に打ち寄せられた木材を撮す場合、人は近視眼的にその狭い範囲を撮したがるものです。この作品は、作者が周りをしっかりと見てから、どう伝えようか考えて撮影しているのが伝わってきます。U字になっている浜を利用し、奥に陸地の風景を入れることで、私たち人間の営みが海の汚染につながっているという課題を見る人に問いかけてくれました。また、太陽の光も斜光を選んだことで、より立体的に問題の木材を浮き上がらせています。パッと見て、これは問題だよね、考えないといけないねと誰にでも一瞬で伝わる。これぞ写真の役割!と思える最優秀賞にふさわしい作品でした。 (審査員/武本 花奈)
優秀賞 2名
【タイトル】『天日塩』
【受賞者のお名前】堀 花帆さん(親子合作)
【該当するSDGs】12 つくる責任 つかう責任
【作品概要】
夏休みに親子で塩づくりをしました。カツオが美味しい高知県の中土佐町という場所で、海水をくみ上げ、太陽光だけで塩を作るお話を伺い、自然のありがたみを感じる事ができました。山と海に囲まれた場所で、夏はハウス内が80℃以上になる日もありますが、1日3回ハウス内に入るそうで、1度作業をするだけで体重が2キロも減る過酷な環境とのことでした。体が熱くなるので、川で体を冷やすそうです。休日は雨の日だけ。自然の恵みを最大限に生かした塩は、ミネラルが豊富で、カツオのたたきやアイスクリームに付けると美味しいことも教えていただきました。全て手作業の為、大量生産できないとのことでしたが、ご主人の塩づくりに対する想いを沢山の方々に知っていただき、ぜひ味わってもらいたいと思いました。
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受賞者コメント
このたびは優秀賞に選んでいただきましてありがとうございます。
塩作りは夏休みの体験の一つでしたが、実際に作る現場を見ることで、きれいな海や山を守ることは、安全で健康な食事につながることを実感しました。
時間や手間暇はかかりますが、こういった物づくりを大切にしていきたいねと、親子で話し合うきっかけになりました。 -
審査員コメント
海水を太陽光だけで蒸発させて作る天日塩の制作を撮影したこの作品には、自然エネルギーや水資源の循環という環境保護の中心的課題が凝縮されています。CO2排出のない太陽光というクリーンなエネルギーによって、山間部の清く澄んだ雨水が川から海へと流れ、やがてまた大気へと気化する、そのプロセスを天日塩の制作は想起させます。画面奥から手前にむかう対角線の構図もまた、そのようなダイナミックな循環を表現するのに適した躍動的なものとなっています。メッセージと構図がうまく結びついた完成度の高い作品です。(審査員/江崎 聡子)
【タイトル】『地球の仲間とともに』 (*連作)
【受賞者のお名前】倉橋 基さん
【該当するSDGs】15 陸の豊かさも守ろう
【作品概要】
街をぬけ出し、ひさしぶりに森の中へ。
小さなテントを建てて、大地にねそべる。
遠い空をながめていたら、
となりの木の上にも、遠くを見つめる地球の仲間。
大きなあくびをしてみたら、となりの木の上にも、
あくびしている地球の仲間。
そろそろ街へと帰るころ、
森のこみちを、親子で帰る地球の仲間。
住んでいる場所はちがうけど、ふるさとはみんな同じ、大切な地球の仲間。
陸のゆたかさを守るために、地球の仲間とつながろう。
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受賞者コメント
このたびは思ってもみなかったお知らせに大変おどろいています。本当にありがとうございました。
この写真はキャンプ場で写しました。カラマツ林の中にある小さなテントサイトは、夜になるとサルやシカ、フクロウなどの声が聞こえます。動物たちは近くにいるのですが見えません。
夜が明けてみると、すぐとなりの木にサルの親子がいました。ふだんは動物たちが住んでいる場所に、こちらが足を運んでいることに気付かされました。
野生動物は農作物を食べてしまうこともありますから、人間と共に生きることはむずかしい、とも言われます。陸のゆたかさを守るために、まずは「動物たちの想いをイメージする力」を養いたいと思います。 -
審査員コメント
まず、写真に惹かれますね。的確なフレーミングとセレクトです。
良く冷静に、撮れましたねえ、最近サルによる被害が報告されているのに地球の仲間と捉える、作者の優しさと暖かさに感動します。
ホントにそうですよねえ、地球で暮らすものみな、仲間です。
「地球の仲間とともに」このテーマを写真で表現することを続けて行ってください。
仲間を守るためにも、我々人間が行動していきましょう。
ここに写っている、サルがよき友にに見えてきます。(審査員/石原 康男)
佳作 3名
【タイトル】『まもりたいきれいなうみ』 (*連作)
【受賞者のお名前】藤山 俊之介さん(親子合作)
【該当するSDGs】14 海の豊かさを守ろう
【作品概要】
朝5時半に起きて漁業に携わる方たちとゴミを拾う活動に参加しました。ペットボトルの容器やお菓子のゴミ、お弁当の容器などいろいろなものが流れ着いていました。「プラスチックのゴミは時間が経っても自然には返らないんだね。」と親子で会話をしながら、150人ほどで約1時間ゴミを拾い、袋いっぱいのゴミを集めました。プラスチックゴミを減らすために、自分ができることから始めようと親子で話しました。
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受賞者コメント
かさくにえらんでいただいて、うれしいです。
ここはくまもとのいとことよくさんぽをする、ぼくの大すきなばしょです。でもいつもゴミがたくさんあるのが、気になっていました。
こんかい、おじいちゃんのおともだちとみんなでいっしょにきれいにできて、よかったです。
しぜんへのかんしゃの気もちをもって、きれいなうみをずっとまもっていきたいです。
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審査員コメント
三つの写真が、三連画のように配置され、海洋環境の保護やその活動についてのストーリーがうまく語られています。写真から、海岸に放置されたゴミがいかに多量か、そしてそれを撤去していく作業にいかに多くの人が携わっているのかがわかり、問題の切実さや地元の人々の「きれいな海をまもりたい」という意志がしっかりと伝わってきます。メッセージ性がとても高い作品です。(審査員/江崎 聡子)
【タイトル】『公園』
【受賞者のお名前】五十嵐 健太さん
【該当するSDGs】15 陸の豊かさも守ろう
【作品概要】
永遠は、この世に存在し得るものではない。人々は歩みを進めるたびに、無数の出会いと別れを織りなし、過ぎ去った日々の記憶を風に流していく。幼き頃、あの公園は私にとって特別な場所であった。友と草の上に横たわり、夢を語り、時には感情の嵐をぶつけ合った。あの場所は、自然と人工が奇跡のように調和した小さな宇宙であり、我らの心の避難所であった。
だが、今やその感覚は私の中で消え去ろうとしている。それは公園だけではない。この地球が私たちに与えてくれた、計り知れぬ贈り物すら、私たちの無責任な手によって失われつつある。自然の秩序を乱し、欲望に溺れた結果、かつて輝いていたものは影を落とし始めている。目の前に広がる青い空と緑の大地、その一瞬一瞬を大切にしながら、永遠に続くことはないこの命を、地球の未来のために捧げる時が今訪れているのだ。
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受賞者コメント
佳作をいただき、大変光栄に思います。この作品を通して、誰もが持つであろう、かつての記憶と自然への想いを表現できたことは、私にとってかけがえのない経験でした。幼き頃の公園で感じた感情や、自然と人が共存する未来への願いを少しでも共有できたのであれば、何より嬉しく思います。ありがとうございました。
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審査員コメント
的をついていて、鋭いコメントですねえ。
気持ちの良い公園に来て、このような問題を感じられるのは、素晴らしいと思います。
写真表現の出来も良く、伝わってきます、芝生に寝転んで見上げたその先には、緑の芝生、木々、気持ちの良い青い空が広がっています。構図も的確で良い写真です。
芝生に寝転んだ感覚を味わいながら、きっと未来のこと考えたと思います。
さあ、我々に今何ができるか考えて行きましょう。
写真による、心動かす表現をこれからも、続けて行ってください。(審査員/石原 康男)
【タイトル】『海からの贈り物』
【受賞者のお名前】竹村 美智子さん(親子合作)
【該当するSDGs】14 海の豊かさを守ろう
【作品概要】
私は海に落ちているシーグラスに魅力を感じ、近所の築百年の古民家で行われたシーグラスブローチ作りに参加しました。そこで海岸に打ち上げられた漂着物を集めるビーチコーミングという言葉を知りました。ブローチ作りに使われた漂着物の中には、海の波にもまれたシュウマイ弁当の醤油瓶等もありました。海岸のゴミからこんなに素敵な作品が作れたことに驚き、未来のために綺麗な海を守る努力をしようと強く思いました。
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【受賞者コメント】
私の作品を選んでくださりありがとうございました。とても驚きました。私は家族で生活する中で自然とSDGsを意識するようになりました。また、思いやりの心がSDGsにつながることを知りました。これからも日常の中でわたしにもできるSDGsを見つけていきたいとおもいます。
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【審査員コメント】
かわいらしいブローチが、シーグラスで出来ていると気付くのに一瞬時間がありました。一瞬の時間があるのは、写真にとって、時にとてもいいことです。作品を見て、ん?これ何だろうと立ち止まって興味を持ってもらえるということだからです。海にガラスが流れ着くというのは大問題ですが、それをまた再利用する方法があるよと教えてくれているのも、とてもすてきな目の付けどころだと感じました。ひとつ改善点があるとすれば、ブローチを引き立たせるために、暗めの背景を選ぶことをおすすめします。例えば、同じように海に流れ着いた流木などに乗せて撮るといいでしょう。(審査員/武本 花奈)
広報センター長賞 1名
【タイトル】『マイバッグ』
【受賞者のお名前】丹波 瑚乃さん(親子合作)
【該当するSDGs】12 つくる責任 つかう責任
【作品概要】
小学生になったので、お手伝いをしたお小遣いで自分で買い物に行くようになりました。
お店屋さんで「袋はいりますか?」と聞かれるので、「いりません」と言えるように自分でバッグを作ることにしました。そうすれば、ビニール袋が無駄にならないと思いました。
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受賞者コメント
私の作品を選んで頂きありがとうございます。
私が今できるSDGsは、エコバッグを使う、食べ残しをしない、お友達と譲り合う、テトラパックを学校に持っていく事です。まだ思いつく事は少ないけれど、少しずつ勉強してやれる事を実行していこうと思います。
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審査員コメント
子どもの時から環境問題を自分の問題として捉え、その時に自分ができることをすることは素晴らしいことだと思います。写真を撮ったお母さまのお子さんへの温かいまなざしを感じることが出来る作品です。
また、自分が作ったマイバッグを見るお子さんの表情が素敵です。自分で作ることは物を大切にする気持ちにもつながると思います。SDGsフォトコンテストの開催意義に即した素晴らしい作品だと思います。(審査員/佐藤 慎)
審査員からの全体講評 4名
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フォトグラファー 石原 康男
毎年、感動していますが、今年の作品もなかなかの力作揃いでした。
今年のテーマは「教えてあなたのSDGs」ですが、SDGsを感じて、考えて、そして実行している人の写真が目立っていました。また、自然や環境から感動を受けて新たにSDGsの大切さを知ったという感じの作品も多かったと思います。
第5回目の開催となりSDGsへの関心が高まっていることを感じています。
我々一人ひとりが生活の中でSDGsの関心を高め、SDGsと出会ったシーンを写真に記録し、そして人に伝えていくというサイクルが回っていると思います。
綺麗な海やみどり豊かな山を撮影してコメントを添えれば一応SDGsをテーマとする作品になりますが、写真を見ただけで、こんなことがあるのかと衝撃を受けるようなインパクトのある写真の表現をめざしてもらえたらと思います。
テーマを持ち、コンセプトを考えて作品として表現している、そうしたハートのある写真が今回も多かったと思います。
これからもSDGsに関心を寄せる活動を続けていってほしいと思っています。
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聖学院小学校 校長・広報センター長(審査員長) 佐藤 慎
SDGsコンテスト フォト&ムービーにご参加いただきありがとうございました。主催者として心よりお礼を申し上げます。
SDGsの中でとても大切な環境という問題を、人ごとではなくて自分の問題として考える、そしてそれを写真で表現するという思いが写真から伝わってきました。
そうした意味で、コンテストに応募する作品の撮影は、自身の環境に対する意識を高めることにつながっていると思いますし、写真をご覧になった方が、自分も環境に対して興味を持たなければいけない、環境を思うことは人ごとであってはならず、自分ごとにしなければならないと思うようになる、そういうコンテストになったのではないかと思っています。
また来年も奮ってご参加いただけたらと思います。
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聖学院大学 准教授 江崎 聡子
今年は例年より作品点数が少ないとうかがっていましたが、実際に見てみるとクオリティが非常に高いなと思いました。クオリティが高いということは、まずSDGsコンテストとしての主題が明確に表現されていることと、それに加えて、写真の構図や色味、光などといったところが面白いかどうかという2点の視点による評価で、今回の受賞作品はどの作品もそうした意味でクオリティが高かったと思います。特に最優秀賞、優秀賞の作品はとても優れていて、バランスも取れていたと思います。
SDGsという言葉が日本の社会の中で定着してきた状況を考えると、これからはSDGsが社会の中で実際にどのくらい達成されているのか検証をするという作業として、実際に写真を撮影する前にアイデア出しをしっかり行なっていただくと、さらに深みのある作品になるのではないかと思っています。来年も楽しみにしています。
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フォトグラファー(聖学院大学 卒業生) 武本 花奈
第5回SDGsコンテストにご応募いただいた皆さん、ありがとうございました。
今回は「良い写真を撮りたい」という気持ちがとても伝わってくる作品が多い回だったなと感じています。
私は普段、プロのカメラマンをしていて商業的な写真を撮ることが多いです。そのため、目的を持って写真を撮るのですが、今回応募された作品も、SDGsの何にフォーカスして撮影しようかと充分に考えた上で撮影された作品が多かったのではないかと感じました。
その一方では、SDGsという言葉が一般的になってしまったことから、一つひとつのことについて、深く考えられているのだろうかということが、自分自身のことを含めて、思ったことでした。
皆さんの視点や、SDGsの何について考えているかということが自然と偏りがちになってしまいます。
フォトコンテストへの応募を機会として、普段気がつかないこととか、いつもは考えていないようなことを考えて撮影した作品を応募してくれたらうれしく思います。来年もどうぞよろしくお願いします。