理事長メッセージ

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清水正之Shimizu Msayuki

PROFILE

  • 1947年横浜市生まれ 東京大学文学部倫理学科卒業後、同大学院人文科学研究科倫理学専攻修士課程修了
  • 同博士課程単位取得退学。博士(人文科学)
  • 2008年聖学院大学人文学部教授に就任
  • 2015年聖学院大学学長に就任。2017年学校法人聖学院理事長に就任

MESSAGE

人と関わり、その人の痛みに寄り添い、 行動することで知を力に変えていく
 

2018年に策定された聖学院ビジョンも今年で5年目になります。聖学院ビジョンは教育と経営、2つのアクションプランからなる中長期計画です。今年もそれぞれ進展と新たな目標が見えた1年だったと感じております。


教育の司令塔的組織がさらに前進

    教育面では今年、駒込キャンパスの教育デザイン開発センターが本格的に始動しました。教育デザイン開発センターは、SDGs、英語、ICTにおいて駒込3校(聖学院小学校、女子聖学院中高、聖学院中高)が連携して教育改革を推進していく組織です。各校から有志で教員が集まり、毎月のように研究会や勉強会を行っています。そこで得た成果を各校に還元していくことで駒込全体の教育力のアップが図られています。2021年度は「SDGs・ESD教育デザインユニット」「英語・グローバル教育デザインユニット」「ICT活用教育デザインユニット」という分野ごとのプロジェクトが立ち上がりました。英語やICTの模擬授業、生徒による防災エコプロジェクトのワークショップなど、より具体的で実践的な活動が行われました。何よりこれらのワークショップを通じ、他の教員や生徒も共に活動する新しいステージに進んだことが、この一年間の成果だったと思います。

駒込3校で教育を共有するということは、小学校から高校までデザインされた教育が実施できるということです。小学校で学んだことが中学で途切れず、高校までスムーズに続いていくということは、子どもたちにとってとても重要なことです。そこにも教育デザイン開発センターの意義があります。また中学・高校における文部科学省の教育改革は、大学入試改革にもつながり、大学のあり方自体にも影響を与えています。中高と大学がそれぞれの教育改革への研究・対応を共有できればさらに大きな成果を得られます。今後は、駒込3校のより一層の一体化に加え、中高、大学との連携を強めていきたいと考えております。

大学においては、教育開発センターがより一層充実して参りました。コロナ禍により、教員はオンラインに最適化した授業が必要となり、自発的に教育手法を研究するようになりました。その中でチームや研究会が誕生し、教育改善の試みや問題意識の共有が図られ、一つの財産を形成していきました。この知の財産を大学として束ね、さらにICTに限定せず新しい教育手法の試みを共有する場として作られたのが教育開発センターです。今では教員の教育手法の成果や、ルーブリックやシラバスに関する問題などを統括し、計画を立てて教員にフィードバックする授業改善の中心的な組織になりつつあります。教育全体を、建学の精神に沿って俯瞰し、また学科や学部として一つの目標に向かっているかなどチェックしデザインしています。

さらに2022年度はサステイナビリティ推進センターが誕生しました。授業、課外活動いずれの場合もSDGsの推進にはボランティア活動支援センター、地域連携・教育センターとの連携が必要になります。また地方自治体や企業もSDGsには強い関心を寄せています。サステイナビリティ推進センターは、各団体、自治体、企業と連携し、要請に応えていくための司令塔的な組織です。一方、サステイナビリティに関する問題意識をどう研究や授業に組み込んでいくかを教員同士で研究する場でもあります。聖学院ビジョンのキーメッセージでもある「『誰一人取り残さない』世界の実現」を体現する組織です。

2023年からは児童学科が子ども教育学科に名称変更します。この学科名称変更には、幼児教育に中心を置いていた学科の学びを小学校まで広げるという意味があります。小学校教諭をはじめ子どもに関する専門性をもつ人材の輩出は、大学が地域に対して行える具体的な還元だと思います。また絵本や音楽など文化的側面からも子どもを支えられる人材を輩出したいと考えております。

教育の変化に合わせて経営的力点を変えていく

  経営的な側面においては、まず大学の志願者の増減を安定させるという課題があります。どうしても増減は発生しますが、それに対し冷静に判断し、安定化させる努力は必要です。また教育が時代によって変化していくため、それに合わせて経営的な力の配分を変えていくことが大切です。前述の教育デザイン開発センターも力を集中した例の一つで、志願者増加という明確な成果を得られました。聖学院ビジョンは、まさに中長期で経営の重点を置くべきポイントを明確にしている計画書です。一歩先を見つつ、足元も確かめながら進んでいきたいと思っております。

行動することで知を力に変える

私は聖学院が育てる人物像として「対話力、共感力、実践力」という言葉をよく使います。対話力、共感力は人と関わり、その人の痛みをわかち合おうとする姿勢です。寄り添い否定せずに耳を傾ける。建学の精神にも通じるこのスタンスは中高、大学だけではなく幼稚園、小学校にも通じる大切な力だと考えています。

また実践力は行動するということです。知を得て自分なりの答えが出るまで考え続けることはもちろん大事です。しかし社会課題にはすぐに行動しなければならないものもあります。また知は実践していく中で力となって変わっていく側面もあります。学び得た知を実践して、初めて知は力となり「人に仕う」ことが実現します。中高のアクティブ・ラーニング、小学校の探究学習、幼稚園の自然や身近なものとの関わりを大切にすること、これらは聖学院が共通して重視している実践の部分です。そして中高と大学ではボランティア活動をはじめとする生徒・学生主体のプロジェクトが次々と立ち上がっています。自ら知を実践する生徒・学生が育っている何よりの証拠であり、聖学院の教育の成果だと感じております。

聖学院は2023年に創立120周年を迎えます。これもひとえに卒業生ならびに保護者の皆様の日頃のご支援の賜物と、心から感謝申し上げます。加えて卒業生の皆様には、聖学院の卒業生として社会での益々のご活躍を期待しております。これからも持続可能な社会の実現に貢献できるよう尽力して参ります。ぜひより一層の理解と継続的な関心をお寄せください。

(2022年6月)

 

 

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