聖学院教育改革の報告 | ||||
聖学院教育憲章の制定に向けて |
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「教育基本法」を改定する現在の風潮への疑問 現在、日本の教育現場には、「不登校」「いじめ」の問題や青少年犯罪の増加・低年齢化をはじめ、基礎学力の低下など、さまざまな問題が山積しています。同時に、高度情報化や国際化の進展=グローバリゼーションの波などによって、新しい教育のシステムが求められています。聖学院でも、幼稚園から大学・大学院までのすべての教育機関で、今までの教育の枠組みを大きく変えることが重要と考えています。 そんな中で日本政府は、小渕元首相、森前首相、そしてその後継者である小泉首相も、この教育全体の大きな問題を「教育基本法の問題」としてのみとらえ、「教育基本法の改定」によって解決を図ることを内閣の優先的課題として掲げています。 1947年に施行された「教育基本法」は「人格の完成」を目的とする「国民教育」を規定していますが、あたかもこの「教育基本法」が、今日の日本の教育現場のさまざまな荒廃を招いているかのように主張することで、政府関係者や知識人の一部が「改定」を唱える傾向があるのです。 文科相の諮問を受けた中央教育審議会は年末にも改正案を答申する模様です。本当に「改定」で根本的な解決がなされるのでしょうか。この「改定」の中身を検証すると、日本人の古いアイデンティティの押し付けになりかねない復古的な国家主義を重視する色合いが伺えます。また「社会奉仕活動の推奨」という表現で、奉仕活動をなかば義務化するなど、さまざまな疑問点があるのです。
聖学院では、こうした動きとは異なる、教育に対する聖学院としての独自のヴィジョンを示し、創造することが急務であると考えました。それは、「教育基本法」の精神を生かして、今後の教育システム全体を見直し、新たな指針を打ち出していくべきであると思うのです。同時に、聖学院の教育とは何かということを明確にすることも目指して、2000年から「聖学院教育会議」を設置して活動を継続してまいりました。 この「聖学院教育会議」の活動について、経過、および現状と今後の動きをお知らせしたいと思います。 聖学院の一体感のなかで「聖学院教育会議」を取り組む 「聖学院教育会議」は、当初、1997年に聖学院諸学校の責任者で構成される「学・校長会」において、「聖学院教育とはなにか」を明確にし、激動する現代に新しい独自の教育の方向を示すことを目的に企画されました。その後、2000年4月に、教育会議の運営を担当する「2000年−2003年委員会」が設置されました。 そして、2000年10月23日に学校法人聖学院の全教職員の参加のもと、第1回「聖学院教育会議」が聖学院中高において開催され、377名が出席しました。また、学生・生徒・児童による発表は父母もいらして大きく盛り上がりました。
第2回聖学院教育会議アピールでは、「ここで策定された新たな教育上の指針や方策の重要性に劣らず、私たちに今求められているのは、私たち自身の教育に対する姿勢であります。これからの時代を担う子どもたちや若い人たちの知性と人間性を開花させ、自由と平和に生きる民主主義的な生き方を会得させ、自然と人間の調和を図り、社会的弱者に奉仕する人間を育成するにふさわしい人格性と教育力を私たち教職員自身が具えているかどうかが、最も鋭く問われなければなりません」と、教育会議の理念と方向性を改めて明らかにしました。 |
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