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FOCUS_美術教育 女子聖学院中学校・高等学校


課題を通じて基礎を学び、表現を解放する
人と答えが同じでない事に不安ではなく自信と喜びを感じて良い唯一の教科が「美術」。
女子聖学院中高の美術教育が掲げるコンセプトです。それを実践しているのが渡邊しのぶ教諭(写真:下)と栗原知伽講師(写真:上)の二人の先生。今回は渡邊先生と栗原先生にお話をうかがいました。

女子聖学院中高の美術の授業では、1年間に5〜6点の作品に取り組みます。そして、それぞれの課題には意図や意味があります。

中1の一番最初に「つぶれた缶」の絵を描きます。私たちは小学校時代に身に付けてしまった「鎧のようなもの」を脱がせることが必要だと考えています。どんな鎧かといえば、人と同じような作品であれば安心する、同質化、均質化を求める鎧です。缶をつぶす理由は、缶をつぶすことによって自分のモチーフである缶と同じ缶が他に存在しなくなるので、自分の作品と友だちの作品とを比較することなく「見えたものを見た通りに描く」ことに集中できるためです。
また、生徒があらかじめ持っている缶のイメージに引きずられることなく、しっかりと対象を観察してもらいたいという意図もあります。

同じく中1では、雑誌『タイム』の表紙になった自分を想像して「横顔の自画像」を描きます。タイム誌の表紙になるくらい偉業を成した自分を想像して描くのです。その状況を想像することもクリエイティブな学びとなります。

中2では「名画の模写」をします。制作のコンセプトは名画の構図を学ぶことです。モネやゴッホなど自分の好きな絵をモチーフにして完全模写を描きます。名画の構図は素晴らしいものなので、その構図をそのまま描き写すことで、自分の中にその感覚を落とし込んでいきます。構図はずっと見ていても飽きない、ベストな位置にベストな大きさで描くものですからぜひ感覚的に習得してほしいと思っています。習字と同様、真似ることで身につけることを目指しています。そして、できあがった作品を飾るダンボールの額縁を制作します。身近にあるダンボールの素材を使い、作りながらその特徴に気付き、工夫を重ねていきます。(写真:上)

中3では中学での学びの集大成として「4分の3正面を向いた自画像」を描きます。構図、デッサン、色彩、服や肌の描き方など学んできたことをすべて使って、自分のイメージに近い作品作りにチャレンジしてもらいます。自画像とはいえ、背景や状況の設定も大切にしています。また縁の立体的な部分にも絵を描き込んでいます。

高校の選択科目「美術」と「工芸」は栗原先生、渡邊先生が分担し担当しています。
実は中学の美術の時間でも生徒はすでに螺鈿(らでん)や堆朱(ついしゅ)などの工芸の作品も作っています(写真中央が中学での作品)。工芸が美術と違うのは「機能」が必須なところ。機能と美を追求し「意匠」を学びます。

「観察」「構図」「道具の使い方」など、中学でしっかり基礎を学ぶので、高校では基礎があることを前提に応用の授業が進められます。すべての生徒が等しく基礎を学んでいることは中高一貫校ならではの強みとなります。

「基礎的な技術にさらに応用や工夫を加え、自分のイメージをよりよく表現できる作品ができています。」と栗原先生は言います。(取材日/2020年7月)

美術で課題解決型学習の訓練
課題解決型学習の重要性は、みなさんご存知のことですが「課題」があったときに①その根本原因を見つけられる力 ②原因に対して解決策を作れる力 ③実行しゴールする、達成する力が必要とされています。また社会課題を解決に至るには何か月、何年もかかり、集中力を要します。例えば、中2で行っている「名画の模写」では、②として模写の方法を教え、③模写の完成まで実行します。これらを6週間かけて実行することで、期日までに完成させるという集中力が付きます。この様に、美術では課題解決するための教育として全てには対応していませんが、一部を養うことはできると思っています。テクニックを与えることや、できたと実感させることは、実行するためのスキル(能力)になっていくと考えています。

写真左:ホワイエに展示されるクリスマスツリーを飾るオーナメントとオブジェは、女子聖学院の美術部が制作しています。
写真右:北区文化振興財団のココキタ「カフェぱれっと」。 女子聖学院美術部生徒によって描かれた黒板アート。
 

 

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