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&Talk SDGs対談 聖学院中学校・高等学校×女子聖学院中学校・高等学校

対談者プロフィール

児浦 良裕

●広報部長 ●21教育企画部長 ●国際教育部長
1974年生まれ。東京理科大学理学部第一部数学科卒業。ベネッセコーポレーションで16年、営業、商品企画、研究開発、マネジメント職に従事し、中高教諭に転職して6年目。担当教科は数学・情報。教育モットーは「井の中の賜物、大海に出る」で、社会と生徒とをつなぐ教育を大切にしている。2016年9月、フジテレビ「ユアタイム」で授業を取材され、全国に放映。

加納 由美子

●英語科教諭
女子聖学院中学校・高等学校 英語科、パラスポーツ応援プロジェクト担当、生徒会顧問。横浜市出身。青山学院大学文学部英米文学科卒業。英語教育学専攻。好きな言葉は、”Keep your eyes on the stars, and your feet on the ground.”(目を星に向け、足を地につけよ)。その言葉をモットーに、生徒の個性・創造性が発揮され、心を育てる授業を目指す。

 

パラスポーツプロジェクトとはどういうプロジェクトですか?

児浦 パラスポーツを広めることを目的としたプロジェクトで、女子聖学院中学校・高等学校(以下女子聖学院中高)と聖学院中学校・高等学校(以下聖学院中高)の有志の生徒が参加して活動しています。
加納 そもそもは、私が別のパラスポーツの魅力を届けるプロジェクトに関わった際、価値観が大きく変わったことがきっかけでした。そのプロジェクトを通して「障がいを抱えている/いない」、「普通の人と違う」ではなく、各々が抱えているものを各々で活かしていくことが大事で、一般的には「弱さ」と言われているものが「強さ」となって輝かせられるのではないかと思いました。その体験から、児浦先生に声をかけ2017年秋に聖学院でもプロジェクトをスタートさせました。先月(2019年3月)までに3つのステージを行いました。1つ目のステージでは、パラスポーツの魅力を届ける映像を制作しました。2つ目のステージでは、障がいを持つ選手への応援方法を考えて、男女50人の生徒が色々なパラスポーツの大会に出向きました。例えば、ブラインドサッカー※では、声を出さない応援法を考えなければならなかったり、各々の障がいを持つ選手に届く方法を考える必要があります。生徒たちは、そもそも応援とは何だろう?と考え、本当に相手の立場を理解して企画を立てていました。その際、ベイスターズの元応援団長を招き、会場全体を巻き込めるような工夫を凝らすこともやりました。これは大いに盛り上がりました。
児浦 注目されましたよね。
加納 3つ目のステージでは、生徒の中での気づきと、高齢者問題や福祉関係、雇用問題、街のバリアフリーといった社会課題に貢献できる活動に発展させる目的がありました。


 

生徒たちにはどのような変化が見られました?

加納 はい。一つは、「普通って何だろう?」という疑問が出てきたことです。自分たちで「普通」を決めてしまうから、それ以外は「違う」となってしまう。この「普通」という概念がなくなったら、もっと公平・公正な社会が作れるのではないかと生徒たちは考えるようになりました。
もう一つは、あるアプリを開発したことです。元々は障がいを抱える人たちのために、街のバリアとなる段差や狭い場所を地図に書き込む企画でした。地図作成のために生徒が街を散策していて次のようなことに気づきます。バリアとは社会にあるものではなくて、自分たちの心の中にあるものではないか。困っている人を助けることが出来れば、物理的バリアは心のバリアフリーで解決できるのではないか、と。その結果、障がいを持つ人が、「私は今ヘルプを求めています」と発信し、その信号を受け取った周囲の人が助けに行く「助け合い」アプリの開発が始まりました。


児浦 男子の場合は、成果やお金儲けに価値を見出す人が少なからずいましたが、彼らの視野がすごく広がったと実感しました。アプリ開発に関わった一人は、ビジネス系のキャリアを目指していましたが、今では教育分野のキャリアを目指しています。結局、社会を作る上で大事なことは、色々な人が幸せになること。「誰も取り残さない」、まさにSDGsの根本思想をごく自然に本音で捉えているんです。すごい成長ですね。
加納 このプロジェクトで大事なのは、成果よりも彼らの中に気づきや価値観の変革が起きて、その仲間が広がっていくことです。彼らが社会に出たときに、その価値観を持っている若い人たちが沢山いれば、社会も変わるのではないでしょうか。
児浦 生徒たちの変革で特に感心したのは、パラスポーツ競技を使って高齢者の健康促進をする、というプロジェクトです。女子のアイディアを元に、社会福祉協議会の方々にヒアリングをして、高齢者の方向けの施設(プラットホーム滝野川)でボッチャ※を一緒にやりました。結果は大成功で、盛り上がっている様はたいへん素晴らしく、先方からもまたやって欲しい、とご依頼も頂いています。
加納 生徒は、「街を見回しても高齢者の方と自分たちが一緒にわいわいするシーンは見かけない。高齢者の健康促進も大事だけど、そういった場を作っていく方が重要なんじゃないか。平均80歳以上の方々が元気に飛んだり跳ねたりするのを見て、一緒にハイタッチをしながら、自分たちもパワーを貰ったし、学ぶことがあった。」と言ってました。よくSDGsの本に書いてある表題よりも一歩先に気づきを得ていることに心を動かされますね。生徒たちの普通の変革とは異なる大きな変革となっています。

 

ラジオでも取り上げられましたし、様々なところから注目されてますね

児浦 はい。文化放送のラジオ番組に生徒たちと一緒に出演をさせていただきました。そもそもは、パラスポーツ競技の応援を考えるワークショップに生徒と一緒に参加した際、生徒たちの次元の違うはつらつとした動きが、ニュース素材を探しに来ていた番組担当プロデューサーの目に留まったのがきっかけでした。その後出演依頼をいただき、斉藤一美さんの「ニュースワイドSAKIDORI!」という番組に出演し、パラスポーツプロジェクトの内容などをお話ししました。

加納 そのラジオを聴かれた方から、まだパラリンピックの種目になっていない立位テニス※を一緒に盛り上げてほしいと連絡がありました。立位テニスの大会の運営から携わっていく動きに広がっています。
児浦 パラクライミング※の日本代表の選手から、SNSに取り上げて欲しいと取材依頼があって、さらに注目されるようになっています。
加納 今では健常者と障がい者が一緒に出来るスポーツという捉え方をするようになって、パラスポーツよりユニバーサルスポーツという言葉が少しずつ使われるようになっています。一番のキーは、本来の意味での多様性であったり、それぞれの中で持っている色々なコンプレックスを強みとして活かしていける気づきにつながることだと思います。その気づきを得れば堂々と自分の良さをアピールできる世の中になっていくと思います。

 プロジェクトのHPとロゴ。  どちらも生徒がデザインし制作したものです。ロゴは、様々な色や個性を持った人が共存していることを表現し、プロジェクト名の下の赤いラインは生徒たちの情熱と決意が込められています。コンセプトも仕上がりもプロ並みです。


※本文中のパラスポーツの種目
ブラインドサッカー:視覚障害の選手による5人制のサッカー
ボッチャ:「ジャックボール(目標とする白いボール)」に赤・青のボールを投げて近づける競技
立位テニス:立って行うテニスで障がいによってカテゴリー分けされコートサイズが変わる
パラクライミング:障がいのある人のクライミング競技で視覚障害・切断・神経障害のカテゴリーがある

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