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「道具としてのICT」鼎談

聖学院NEWS LETTER No.271

「教育×テクノロジー」

 


iPad、電子黒飯、学習アプリなど教育現場でも様々なICTが使われつつあります。 ただ単に便利ということだけではなく、ICTを取り入れるとは、教育にとってどういう意昧を持つのか?
聖学院小学校、聖学院中高、女子聖学院中高の先生方にお集まりいただいてお話を伺いました。


鼎談者プロフィール

池内 清

聖学院小学校教諭
学校法人聖学院 情報センター・副センター長
2015年、 小学校の新校舎を建築した際に校舎内に無線LANを通し、 各教室にプロジェクタ、 AppleTVを配備、iPad、Macを普通教室で接続できるように 校舎内をデザインした。1年生から3年生はShared ,Pad(共有iPad) 、 4年生 以上には1人I台のiPadを持たせるなどICT教育環境整備にチームで取り 組んでいる。2017年にAppleが認定する教育分野のイノベーターであるADE に認定される。1990年代に登場したLC520以来のMacユーザーでもある。

松尾 知実

女子聖学院中学校・高等学校
理科教諭
東京都出身。修士課程中に母校の都内女子校で非常勤謂師を務めた後、2015年より女子聖学院中学裔等学校理科教諭 として勤務。主に中学校の生物分野の授業を担当。授業では iPadで動画や最新研究を紹介したり、生徒に実験の動画を撮影させたりしている。

内田 真哉

聖学院中学校・高等学校
技術科主任 中学3年担任 21教育企画部副部長
LEGO ® SERIOUS PLAY ® メソッドと教材活用トレーニング修了認定ファシリテータ
1976年柏市生まれ。聖学院高等学校第88回卒業。在学中は 山岳部とサイクリング部(現在廃部)に所属。大学と大学院で は森林について学んだ。東京都の特別支援学校で教員をし、 その後公立中学校、2012年から聖学院中学高等学校で教壇に立つ。レゴブロックを使った教育方法や入試について取り 組む。


それぞれの教育現場では、ICTをどういうものとしてとらえていますか?

池内 まず小学校の環境面の話でいうと、4~6年生が一人一 台iPad を使っていて、 1~3年生はShared iPad (共有iPad)という仕組みで擬似的に、一人一台を実現しています。iPad採用は、どのように学習に取り込んでいけば効率的になるか、次元の違う新しい知見や教育方法が可能になるかという点からスタートしたのですが、実は、新校舎を 作ったときに、コンピュータ教室が作れなかったということが大きく影響しています。正直、新校舎が竣工されたタイミングで良い方向に進みました。iPadであれば、教室でやってみよう、と言えばすぐに出来 る。普段の子どもたちのパッと思いついたひらめきからそのまま、すぐ に関連事項を調べられる。大変利便性に長けています。これはコンピュ ータ教室では出来なかったことです。何よりiPadを使う事で、普 段出来ないことが直感的に出来るようになる点、そのテクノロジーこそ魅力的です。インターネット(以下:ネット)も密接に関わってきます が、小学校では 『表現力を高める』という一つの大きな目標がありま す。我々としては、ICTをその 「表現力を高めるための一つのツールで ある」と位置付けています。最近はプログラミングも出てきているの で、そちらもiPadでできるのではないかと考えています。

女子聖学院中高では、ICTをどういった部分に使っていますか?

松尾 一番使っているのは電子黒板ですが、高校の生物の授業で は、環境問題をテーマに、グル ープごとに自分たちで調べて発表する ということもしています。使っているのは学校にある貸出用のiPadや各自のスマホです。必要な情報を探し、入手した情報をまとめて発信 することを通して自身の考えを深めるプロセスに使っています。また、 検索の仕方について、効率的な使い方だけではなく、ネットでは誰もが簡単に情報を発信できるので、一見センセーショナルで目をひくよ うな情報でも、発信元は誰か、信憑性は高いか、常に考えるよう伝え ています。生徒の発表の中でも情報の出自のはっきりしないものを見 かけます。情報が溢れているからこそ、その見極め方を自分たちで身に 付けていって欲しいですね。

では、中高男子のICTの目標についていかがでしょう?

内田 情報機器備品の環境面では、全館で使用可能な貸出用の iPadがあります。ただ、生徒は皆、スマホを持っている訳だし、それを 使えば良いと僕は思ってます。学内で協議してもらっているので将来的には可能になるでしょう。スマホ利用に少し時間がかかると思うの は情報リテラシーの部分をキチンと教えたり、生徒をコントロールす るのが難しいからです。結果、ICTやその能力を学校が制限してしまっ ています。実際は生徒自身が自分でコントロール出来ますし、出来ないだろうと決めつけず、子どもの価値観に落とし込めば絶対うまくいく と思っています。
そうすることによって 「リテラシー」も身につきますし、創造力を含めてクリエイテイビティの高い子たちは多いので、その力を伸ばしていくこともできます。

目標としては、「クリエイティビティ」と「リテラシー」の部分ですね。
女子聖学院中高は、スマホを解放しているというお話しですが?

松尾 女子聖学院中高では、普段、毎朝すべてのスマホを回収し、放課後返却しているのですが、授業で必要な時には一時的に返却しています。勝手の違うiPadだと上手く出来なかったり、貸し出された機器のためにデータを紛失することもあるからです。一番使い慣れているスマホを必要に応じて効率的に使っていく方が良いと思います。

内田 そもそもツール自体が2年ごとに変わっていくわけですから、その都度学校が莫大な費用をかけなくとも、子どもたちが持っているものを使えば良い。無駄なことにお金をかけ過ぎる。

一同 (笑)。

池内 学生がネットの情報をそのままコピペしてくる状況に何か対策はありますか?

松尾 必ず参考文献の記載を求め、本人の理解度を確認しています。自分で調べていれば、質問されても意味や意図を答えられますが、コピペでは、記述通りのまましか答えられませんから。

内田 僕は、全部手書きでなければレポートを受け取リません。手書きに起こす場合、参考文献からまとめて膨大に文章を取ってしまうとまと めようがなく、結局は、自分の言葉で置き換える方法しかありません。中 学生でやっておかないと高校でコピペばかりになってしまうので。
なぜ本を読まなくてはならないか、を説明するのに、本とネットでは根本的に段階の踏み方が違う話をしてます。本を出すには編集者がいて、情報の根拠が明確であるし、企画が通らないと出版されない。だからこそ本の信頼度は相対的に高くなる。

池内 だからこそ資料をネットだけで集めずに、書籍や文献に当たる必要がある。メディアリテラシーはキチンとやっておかないと、非常に 危険な問題も出てきます。

 

ICTを使った授業への生徒の反応はどうですか?

池内 iPadを初めて手にした小学生は、すごく喜びます。例えば、アプリで写真撮影の授業をやるとします。最初は女喜しくて仕方なく、一所懸命無駄なものもボンボン撮り始め、終いには長押しして連写したり。しかし、ある一定期間を置くと止みます。飽きるのとは違いますが、そういうツールがあることが当たり前になってくるんでしょうね。そうなってくると授業にノセることが出来る。興奮して楽しくて仕方がない初期状態が収まると、普通に使うことが出来るようになる。共同作業をする時でも、iPadで、みんなで一緒に紙に書き込みが出来たり、 消したりも出来ます。他の子の書いた部分を消せるので、何で消すんだ、というようなケンカが起きる。しばらくすると、それもばっと止みます。やが てケンカによる作業の遅れに気付き、後からきちんと出来るようになっていく。よ<iPadを使うと子どもたちが遊んでしまうという批判がありますが、実は遊ぶことは、すごく大切で、それを超えた時 に、キチンと出来るところがある。そこを我々の方が見取れるかどうかが大切だな、といつも思いますね。

松尾 中学生にiPadを使わせるにも、遊んでしまうのを理由に敬遠しがちですね。逆にたくさん使うべきですね。

内田先生のところでは、マインクラフトやレゴ・マインドストームをやっているそうですが?

内田 中2でレゴ・マインドストーム、中1でマインクラフトをやっていました。ずっと遊ばせていました(笑)。マインクラフトはPCですが。

池内 マインクラフトは小学生にも人気ですよ。

内田 空間認知能力を身に付けるのには、小学生にはたいへん良い と思いました。中学校の技術の授業をやっていて感じるのは、今の子 は空間認知能力が低いということです。脳の仕組みで言うと、中学生以降は、空間認知能力が育たたないので、小学生の時に育てることが重要です。難しいことをせずに遊びながらやっていけるマインクラフト は良いな、と単純に思いました。
レゴのマインドストームはプログラミングを学ばせたい訳ではなくて、 論理的思考力を付けさせるためにやってます。論理立ててやっていかないと失敗する反面、何度失敗してもポジティブに作り変えられると ころがいいですね。

 

今後、授業で使ってみたいICTのツールなどはありますか?

池内 小学校では、Keynoteや新聞作り、動画などを究めていったら良いかなと思ってます。子どもたちはどうしても流行りの曲をBGMに使いたいと言うのですが、そうすると著作権があるのでどこにも発表出来なくなります(笑)。

動画制作はどんな力を育てるのに有効ですか?

池内 楽しいから作るというのが基本です(笑)。自分がつまらない と思ったことは子どもたちもつまらない。また動画制作によって当然表現力は高まるでしょう。動画と動画に合わせたキャプショ ンなども使いこなせるようになれば、より高度なものが出来ますね。

内田 時間は制限されていますか?

池内 ダラダラと長くても困るので、一分間の短編を作れ、というような制限は設けます。

内田 だとすれば、マネジメントカも付きますよね。小学生のうちに付けばすごいな。

池内 今年から始めているのが、子どもたちー人ひとりのポートフォリ オです。作ったものを積み重ねてひとつの作品にしたいと思っていた ところ、Seesawというちょうどいいアプリがあったので使っています。プログラミングの感想を書かせたり、絵を描かせたり、子どもたちがア クセスして、自分の名前でそういうものをアップしていく。みんなも見ることができ、名前をタップすれば、その生徒一人の作品も集まってくる。相互評価も出来るので、結構面白いな、と思っています。自分の作ったものを残しておき、それを見せあって、コメントを付けたりも出来る。このアプリは一般公開も出来るので、親にパスワ ードを知らせて見せる方法もあるのですが、まだ怖くて使えない(笑)。

松尾 大学受験が変わっていくなかで、高校時代に何をやったかが重視され始めていると思います。経験が手軽に目に見えて楽しく、溜めることが出来るという、そのアプリは、中高でも特に役立ちそうですね。アプリのスキルは直接大学受験に使わなくても、過去の経験をアピールしたり、周りに公開していくことには、慣れておいた方が良いのかな、と思います。

 

 


iPadを便った小学校プログラミング実践事例集

● 岳野公人、荒谷達彦、池内清、東口貴彰、堀力斗 共著
● 電子書籍

池内先生をはじめ、全国の小学校教諭4人のプログラミング実践事例を 紹介した電子書籍です。小学校でプログラミングをどう教えているかを 実例に沿って説明しています。指導に必要なプレゼンテーションスライ ドが用意されていたり、活動案に沿って授業を進めていくことができる 構成になっています。


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