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&Talk-みどり幼稚園創立40周年-

ASF NEWS No.56

創立40周年

 


創設40周年を迎え、当時と今、そしてこれからのみどり幼稚園を園長、先生、卒園生兼保護者、それぞれの立場から語っていただきました。


鼎談者プロフィール

小山 浩史

同窓会長
1980年に女子聖学院短期大学付属幼稚園(現、聖学院みどり幼稚園)卒園。幼稚園創立30周年を機に立ち上がった同窓会発足に携わり、その後同窓会長に就任。自身の子どももみどり幼稚園を卒園し、保護者となった今も幼稚園との関係が続いている。

山川 秀人

園長
1989年より聖学院大学・女子聖学院短期大学学長秘書、その後学長室長、学務部長、総務部長、人事部長等を経て2010年より統括総局長。2013年聖学院大学附属みどり幼稚園(現、聖学院みどり幼稚園)副園長、2014年より園長。2018年からは事務総局長を兼務。

本田 ゆかり

主幹
東洋英和女学院短期大学・保育課卒業後、キリスト教保育の私立幼稚園に勤務したのち、1990年より女子聖学院短期大学付属幼稚園(現・聖学院みどり幼稚園)に着任。教諭、主任教諭を経て、2017年度より主幹として毎日子どもたちや保護者と関りを持っている。

 


創設当時はどのような幼稚園でしたか?
保護者が幼稚園に求める内容の変化などありますか?

山川 40年前、みどり幼稚園は、聖学院大学の前身である女子聖学院短期大学の付属幼稚園という形でスタートしました 。短大には児童教育学科があり、その実習園という役割ですね。
社会の状況で言えば核家族化にくわえ女性の社会進出が進み、共働き世代が徐々に増えてきていることから社会的な幼稚園へのニーズも、かなり変化してきています。具体的には、親御さんたちが子育てに関する負担をできるだけ少なくしたいという思いと、また子どもを出来るだけ長い時間預かって欲しいというのが現代のニーズではないかと実感しています。
みどり幼稚園は、家族が子どもを見守る環境や子どもと一緒に過ごす時間が大切という思いから預かりなどにはあまり積極的ではなかったのですが、昨今は預かり保育も以前より長時間になり、お弁当を作るのが負担になるというご要望から給食も部分的にとりいれました。ただ子どもたちは親のお弁当がすごく楽しみでしょうから、全面給食にはせず、最大週2回、残リの3日間はお弁当というようにしています。基本的な考え方は変えたくないですが、ニーズに応えていかねばなりません。

本田 地域の反応としては当時キリスト教保育をする、遊びを中心として保育をするという方針は、かなりセンセー ショナルであったろうと思います。何だか変な幼稚園だ、という声があちこちで聞こえたと伺いました 。しかし、キリスト教保育と遊びを中心とした保育というのは、ずっと変わらなくて、周りの方たちの受け止め方にも随分浸透して、また遊びを中心とした保育というのは幼稚園教育要領でも全面的に出していますから、40年経って、好奇の目で見られることはなくなりました。

小山 私がみどり幼稚園に通っていた頃、私の家は幼稚園まで歩いて10分くらいの場所にあるんですけれど、今の時代では考えられませんが、自転車通園をしていました 。初代園長のクレー ラー先生に 「遠いでしょうから自転車で来てはいかがですか」と言われて、自転車で通ったんです。当時としてもかなり画期的というか、一人で幼稚園の鞄を提げて、スモックを着て、自転車で来るんですよ。相当変わった幼稚園ですよね(笑)。

 

 

山川 みどり幼稚園の敷地は広いので、三輪車はもちろん、自転車なんかもピュンビュン走り回っていますので、ここで自転車に乗れるようになる子が結構いるんですよ。でも、知らない人が見ると危なくないですか、と聞かれることもありますが、子どもたちはそこをキチンとわかって注意しながら乗っています。
この幼稚園のやり方は、子どもたちが自分からこれをやってみたい、やりたいという内側から湧き出てくるようなものを育ててあげる。そういう保育が良いと思う人がここに入園させるのでしょう。

小山 そういった考えを敬遠される方もいれば、逆に自分から積極的に子育てに関わっていきたいというお母さんもいます。そういう方がこの幼稚園を選んでいるのかもしれませんね。

山川 本園に来てくださっているご家庭の方は幼児教育に対する意識がとても高いと思います。また、このみどり幼稚園の保育について十分理解して来ている人がほとんどですから、考え方も似ており、保護者の会の活動も、全体的に和気藹々としていて、仕事をしている方へも配慮してくださるし、皆同じことをしなくちゃダメみたいなことは仰らないですから、私たちとしてはとてもやりやすいです。

小山 お母さん方の活動も、バザーの準備などは女子校の文化祭のように盛んですし。お母さんが幼稚園で知り合ってずっと続いているというつきあいですね。 『あすなろ会」という卒園生や現役のお母さんを中心としたコ ー ラスサークルも、30年、40年以上ずっと続いています。卒園してからも、おつきあいや親交が続いていくということも地域に根ざしている証で、世の中のニーズとしては、長時間保育や早期教育をして欲しいという要望もあるかもしれませんが、一方で、そうではない特色を出していることから幼稚園に通わせる人も多いのではないでしょうか。

児童学科の実習について昔と比べた学生の変化はありますか?

山川 聖学院大学の児童学科だけではなく、自分の道をバチリ決めて来る学生は昔より少なく、実習や見学に来ていてもまだまだ迷ってる人が多いですね。現場の先生ではなく研究職の方が良いとか、いろいろと範囲も選択肢も広くなっている分、学生もそこをピンポイントで、という風にはなりづらいのかな、と思います。
それと自分が大学生になるまでに、乳児や幼児に接している経験が極めて少なくなってきているので、子どもが好きとか幼児教育をやりたいというより、来て見てわぁっと驚くような方が多いかな、という気はします。遠慮して、まだみどり幼稚園に入ったことがないという方が児童学科にも沢山いるので、なるべく来て、いっぱい子どもを見て、幼児教育ってこうだな、楽しいと感じれくれたら良いなと思います。

 

山川 園長としては、単にどこかへ就職するものの一つとして幼稚園を選択するのではなくて、使命感や召命感を持って就職をしていただきたいな、という思いがありますね。幼児教育というものは、子どもたちが家庭から離れて、はじめて社会に出て行く、社会経験の場ですから、社会人としての人格形成の上でとても大きな意味を持っている時期な訳です。そういう意味で、その責任の重さをしっかりと受け止めて、認識してもらいたいな、と。そこまで学生に言ってしまうと尻込みしてしまうのですが。

本田 責任が重いから嫌だ、と。

山川 もう一つは、このみどり幼稚園の先生たちをよく見て欲しいんですね。まずは、子どもたち一人ひとりをきちんと見る、観察する。そしてその子どもたちに寄り添って、語りかけをすることが出来る。皆さん経験が豊富でそれを出来る先生たちです。その先生たちを見て幼稚園の先生とはこういうものだとしっかり感じてもらいたいというのが私の願いですね。

これからのみどり幼稚園の展望を教えてください

山川 一言で言えば、世界基準の幼稚園になりたい。例えば国際的な場でも通用する日本人や、リーダーシップを取れる人間を育てたいということです。多くの日本人は、会議になると発言をしなかったり、自分の考えを述べるのがとても苦手です。たとえ良い考えや意見を持っていても、表に出していかなければ、対等にやり合うことは出来ません。国際的な場では、語学力の問題はあるにせよ、日本人が単に引っ込み思案であるとか、プレゼン能力が低いとか、そういったこと以前に、人間としての力(=人間力)の差があるのではないかと思います。別な言い方をすると、意欲や行動力、決断力、さらにはコミュニケ ション能力のような、私がよく使う言葉ですが、 『非認知的スキル』を育成していかなければなりません。
みどり幼稚園の保育はまさにそれなのです。『非認知的スキル』とは、物事に興味や好奇心、関心を持って自発的に思いを持っていくスキルです。指示されてやるのではなく自分で取り組もうとする力です。そこを養ってくのが、みどり幼稚園のめざす保育です。もちろん理想だけでは成り立たない部分もあります。最近、大学まで持つ大きな学校法人が幼稚園を止めてしまうという所も出始めています。幼稚園が採算を取れないからですね。社会的なニ ズも取り入れながら、しかし幼稚園の理想をどこまで追い求めていけるか、というのが課題かなと思います。また、40周年ということで、この園舎は40年間使っています。幸い土台がしっかりしているので、耐震的には大丈夫ですが、ただやはり40年も使っていると色々な所に不具合が出てきていて、例えば給排水の設備で、配管が腐ったり破れたりする問題等が増えてきています。この40年を契機に、将来のことを考えた改築なり改修なりを本格的に考えなければいけないかな、と。そこが40周年で一番大きな課題かもしれない(笑)。

小山 戻れるところがあると良いと思うので、みどり幼稚園らしさ、みどり幼稚園ってこうだったよなっていう所を残した形でリニューアルを行っていただければ、卒園生としては嬉しいですよね。みどり幼稚園らしさという点で言えば今の世の中は、テクノロジーの発達により疑似的な体験はしやすくなりました。反対に自然の中で実際に生きた草木や動物に触れる体験をすることは減ってきています。いま生きている生き物に触れて得た感覚は、得難いものになると思います。そんなみどり幼稚園の良い特徴を残していただきたい、と思いますね。

山川 ある子どもが遊びの時間にじっと地面を見ているんです。何をしてるか聞くと、虫を追っていると。ずっとその虫を追いかけて過ごしている。大人から見ると無駄な時間のように思ってしまいがちですが、子どもたちはそうしたものから色々な発見をするんですね。自然の中で、誰から言われるでもなく、自分から関心を持って、興味を持って何時間も飽きることなく続けている。みどり幼稚園では、そういった遊びの時間を沢山確保しています。幼稚園としては、今後はその遊びの質を一層重視していく必要があると思います。

 


 

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