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先生のことば

「褒める、叱るだけじゃない」

緑のオリーブ No.2016-06

 

 幼児教育に携わって以来、子育てに関して少なからず気になっていることがあります。それは教育に関する情報、特に幼児教育に関わることの中で、小さな子どもをどのように教育するかという問題について、「褒める」と「叱る」という2つのキーワードに単純化されてしまうことが比較的多いことです。

 最近、ある会合で一人の大学教授から「みどり幼稚園は『自由保育』ですよね。自由保育って子どもを遊ばせているだけなんでしょ?」などという、現代の幼稚園教育についての無知をさらけだした質問を受け思わず苦笑しました。人間は自分が熱意を持っている事柄に対しては複雑さを克服できますが、どうでも良いことは「あぁ、要するにこういうことでしょ。」という具合に極端に単純化しがちです。その事柄の複雑さに挑戦するほどの意欲が持てないということでしょう。確かに、幼児教育においては「褒める」と「叱る」はとても大切な要件です。でもこの言葉だけに捕らわれ過ぎてしまうと、他のことが見えなくなってしまうのではないでしょうか。

 今年入園したある3歳の男の子は『機関車トーマス』が大好きです。オリーブクラスの時間になるとトーマスで遊べるので、帰りの準備もせずいつもプレイルームで待ち構えています。私は絵本やビデオで色々勉強をし、その子の前で機関車のみならず客車や貨車などトーマスの仲間の名前を全部言ってみせました。すると、その子は驚いて目を丸くして私を見つめました。以後、彼は私の言うことを素直に聞いてくれるようになりました。この子に接するには『機関車トーマス』に詳しいことが大切だったのです。

 このやり方は私の発案ではなく『Utilization(ユーティライゼーション)』という相手との信頼関係を築く方法です。その子の心に寄り添い共感することにより、無意識の内に「こいつ(私のこと)は自分のことを分かってくれている」と見るようになるのです。同様に『Backtracking(バックトラッキング)』という方法がありますが、これは相手の言葉を流用して質問形式にして返す方法です。実は、これらは無意識に誰でもごく当たり前のように行っていることなのです。しかし、教育を褒める、叱るという2点に単純化して考えてしまうと、場面によってはそれよりももっと効果的な方法を見失っているかも知れません。実際にお母さん方とお話しする時に「叱ってはいけないの?」「上手に褒めるには?」などと問われることがあります。褒める、叱るだけではない、第三、第四の方法にも目を向けられると良いのではないかと思います。

園長  山川 秀人

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