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先生のことば

「あなた方に平和があるように」

緑のオリーブ No.05

 私の父は第二次大戦中軍国主義教育を受け、自ら日本国陸軍の一員となることを志願しました。しかし敗戦後、自分が最善だと思っていたことが実は侵略戦争加担という最悪のことのために命を献げていたことを知り愕然としたそうです。そして「自分を赦せない、国を赦せない」という思いに苦しんだことを幼かった私に何度も繰り返し聞かせたのでした。私は大人になって、この父の話しをよく思い出します。私たちはつい「自分だけは正しい」との思いで相手に接し、実は独りよがりになってしまっている場合が多いのではないかと常に反省させられるからです。

 8月の夏期保育の中で、子どもたちに「戦争とは国と国のケンカです。みんなはケンカをしても自分が悪ければ謝ることができるし、謝った相手を赦してあげることもできるけれど、国同士のケンカでは「自分たちだけは正しい」との思いによって、結果としてみんなが不幸せになってしまう。そんな悲しい戦争が起こらないようにしたいですね。」との話しをしました。

 表題の「あなた方に平和があるように」という言葉は、ヨハネ福音書第20章の主イエスによるものです。この言葉はヘブル語で「シャローム」と言いますが、大変便利な言葉で「おはよう」も「こんにちは」も「こんばんは」も全部「シャローム」。さらに別れるときの「さようなら」も、この「シャローム」を使います。会うたびにお互いの平和を祈る。平和と言っても、平穏無事というだけではなく社会的にも精神的にも満たされた状態、具体的には隣人や神さまとの関係があるべき状態になっていることを願う、「シャローム」とはそのような言葉なのです。そして戦争やケンカは心の中にそのような「平和」がなくなってしまったときに起こるのではないでしょうか。

 逆に心が「平和」であるとき、私たちは喜びや感謝の気持ちが溢れ、愛で満たされます。「平和」というのはただ単に“争いのない状態”なのではなく“平穏によってもたらされる心の状態”のことを言うのです。それは人間同士は勿論、神さまとの関係もその中に入っています。すがるのではなく、しかしいつも共にいてくださる神さまを感じ、そこに祈る。それがまず、神さまとのあるべき関係“平和”の入り口なのです。

園長  山川 秀人

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