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先生のことば

「卒園・進級を前にして」

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緑のオリーブ No.012

 卒園・進級の時が近づいてきました。特に年長の子どもたちは、残り少ない園生活を夢中になって過ごしています。一方、保護者の皆様にとっては、園生活の充実だけではなく、まもなくやってくる小学校生活への心の準備も脳裏をかすめる日々であられることでしょう。

 ある日の年長組の様子をご紹介します。一人の男の子が熱心に絵を描いていました。それは、お化けがたくさんいるお化け屋敷の絵でした。そこに登場する子どもの一人が、カンテラのような明かりでお化け屋敷の出口を照らしています。「でぐちはこちらです。」と告げているのだそうです。その男の子は、絵をくるりと裏返すと最初の絵も私に見せてくれました。先ほどの、明かりを手にした子どもが強い光でお化けをやっつけている、そんな場面でした。その子はたった一人でお化けたちに立ち向かっていましたが、表情はにっこり、この明かりさえあれば百人力といった自信にあふれているようです。打ち負かされたお化けたちは、二枚目の絵ではみんな明かり色、つまり黄一色に染められしおらしく出口に向かって並んでいます。そして、その子は三人の仲間たちに囲まれ、英雄になったかのような堂々とした表情をしているのでした。

 私はこの絵に深く心を動かされました。それは、この男の子の内的世界を表現しているだけでなく、クラスの子どもたち、そして年長のすべての子どもたちの心にも通ずる作品のように思えたからです。子どもたちは、これから新しい世界へと旅立っていきます。未知の世界の入り口で戸惑うこともあるでしょう。涙が出てしまう時もあるかもしれません。しかし、そのような困難に立ち向かっていくのは自分一人であることを、子どもたちは初めからよく知っているようです。それは、子どもたちがこれまでの成長の日々をまずは自分自身と向き合ってきたということでしょうし、何より大切だったのは、自分自身の有り様を互いに確認し合うことのできる友だちの存在だったということでもあるでしょう。

 子どもたちはみな、自分の未来を照らす明かりを手にしています。それは、今を生きる一人ひとりが照らすことのできる最大限の光を放ちます。その子どもたちの精一杯の明かりを曇らせることがないように、大人にとってもまだ見ぬ未来に心配しすぎないでいられるように、私たちの心の平安をしずかに祈り求める日々を過ごしてまいりましょう。

園長補佐  佐治 由美子

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