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先生のことば

「ずっとまってたんだよ」

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緑のオリーブ No.009

 毎年クリスマスを迎えるこの時期になると、私も様々な準備のために走り回る日々を過ごすことになります。何年か前、まだ息子が2歳だったこの時期のある晩、やはり忙しくしていた私は、いつまでも私と遊びたがる息子を、すぐに寝かしつける良い方法を発見したのです。それは息子に「待っててね」と微笑みかけながら布団をかぶせておくと、10分くらいで彼は寝息をたてている、というものでした。当時、私は家族の中で息子を寝かしつける役目をおっていたのです。何回かこのようなことがあったので、そのうち私は彼が眠ったかどうかの確認もせずに、毎晩「まっててね」「まっててね」と言いながら、自分の仕事やクリスマスの準備に没頭していました。

 クリスマス・イブが近付いたある晩、やはり息子に「待っててね」と声をかけながら布団をかぶせた私は、それからスタジオに出かけて、クリスマスコンサートの準備として必要なピアノの練習に、何時間かを費やしたのです。帰宅は真夜中になり、家に入っても物音ひとつしませんでした。ところが、支度を済ませて寝静まった寝室のベッドにもぐりこんだ時、布団の中から息子の小さな声がしました。

 「ずっとまってたんだよ」

 今は成長して私より大きくなった彼を前にしながら、しかし私はこの時のことを生涯忘れることはないでしょう。己の都合と思い込みにより、小さな子どもに寂しい思いをさせてしまった私。それは、誠実に生きようとしてもそのようにできない現実にもだえ苦しむ人間の罪の一端でもあるのでしょう。このような私たちであればこそ、クリスマスの到来が心からの慰めとなるのでしょう。

園長  村山 順吉

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