「育ててくださる神様」

幼稚園の庭では、梅・びわ・杏が次々に色づき、収穫の時を迎えました。小さな子どもたちは、まだ熟れていないみどり色の実が木になっているのを見つけると、まるで宝物でも見つけたように目を輝かせ、手を伸ばします。そして、「いけないんだー!」と周りの子どもたちに言われて、びっくりします。「まだね。もう少し待って赤くなったらみんなで採りましょうね。」と何度となく保育者に声をかけられ、あきらめたり、それでも採ってみたりしながらこの時がくるのを待ちました。そして、時が来て色づき、熟した実を採る時、大勢の子どもたちが順番に並びながら脚立に乗り収穫します。収穫する時も、その後実を食べる時も、子どもたちの目は真剣で、夢中です。

こうして、実際に植物が育ち、実をつける様子を見ている子どもたちは、知らぬ間に「時」というものを感じています。また、自分達が土を耕し、水をやって世話をすることを通して育てる喜びや労働の楽しみを知ります。そして、何より育ててくださる神様の力(存在)を感じていくのです。これは決して子どもたちが言葉で言い表しきれることではありません。しかし、子どもたちの心はしっかりとそのことを感じているのです。

今、日本の社会は食品偽装問題にゆれています。「どうしてこんなウソを」と思うようなことが次々に起こります。もちろん生産者だけではなく、仲介・流通など様々な人の手によって成り立っているのが社会であり、経済のしくみです。しかし、どこかで「人が何でもなすことができる」と思いあがったり、錯覚していることはないでしょうか。子どもたちと共にシンプルな生活を通して、育ててくださる神さまを感じたいと思います。

保育主任補佐 本田 ゆかり