「絵本からの贈りもの」(1)

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 この題は、私が著作した本の題名です。今年度、私のオリーブ担当月はこの題で執筆させていただきます。

 幼い子どもと生活していますと、子どもの行動や発言、雰囲気から、人としての生き方を多く教えられます。子どもを理解することは、人間を理解することだと多くの教育実践者や研究者が述べています。私も本当に「しかり」と思うことがしばしばです。

絵本の読み聞かせの中でも上記の経験をたびたびします。読み聞かせている私が、聞いている子どもの発言や行動、表情、雰囲気等から多くの示唆を受けることがあります。このことについてこの紙面で数回述べさせていただきます。

            ―  なぐさめを見出したKちゃん  ―

 4才のKちゃんは、家庭で悲しい、淋しい思いをしました。そのことをどのように説明、表現してよいかわからないKちゃんは幼稚園でただぼんやりと友達の遊びを見ているだけでした。Kちゃんの父親が1ヶ月前、天に召されたのです。大切な人が自分の目の前から去ってしまう喪失の悲しみは、これからのKちゃんの人格形成の上に大きな影響を与えることが懸念され私はどのようにKちゃんに接するか戸惑いの日々を過していました。

 そんなある日、絵本のコーナーで絵本をめくっているKちゃんに出会いました。Kちゃんの横に『100万回生きたねこ』の絵本がありました。私はそれを手に取りKちゃんは「もう一回 もう一回」と繰り返し読んで貰うことを要求しました。Kちゃんはどうして良いかわからない自分の気持ちをこの絵本の中に投影しているように見受けられました。この物語から人が苦しみや悲しみを繰り返し体験しながら生きていくことを確認しているようでした。Kちゃんとこの絵本の出会いを通し、私も人生の苦しみや悲しみはいろいろな出会いから時を経て乗り越えていくことが示された思いでした。



園長補佐 長山 篤子